『カラマーゾフの兄弟』別巻



 ドストエフスキーの主要作品を読み直してみよう、とふと思い立った。で、手始めに、いまベストセラーになっているという話題の新訳『カラマーゾフの兄弟』全5巻(亀山郁夫・訳/光文社古典新訳文庫)を購入。

 文庫を買うとまず解説から読む悪癖のある私は、まず「別巻」の第5巻から読んだ。
 この巻は、短い「エピローグ」が冒頭に掲載されているだけで、あとは訳者の亀山郁夫によるドストエフスキーの評伝と『カラマーゾフの兄弟』の解題が大半を占めているのだ。

 亀山はドストエフスキーの優れた研究者でもあるから、この評伝と解題だけで独立した価値をもつ。

 「真の翻訳作業を通じて原著と四つに組んだものにしか到達し得ない理解の深みというものが翻訳にはある。原文を具体的に日本語に置き換える作業そのものが作品論であり、作家論であり、文体論なのだ」
 ――そう言ったのは翻訳家の小鷹信光だが、亀山も、巨峰『カラマーゾフの兄弟』とがっぷり四つに組んだ経験を通して、一重深いドストエフスキー理解に到達したのであろう。

 とくに、100ページほどで手頃な長さの評伝「ドストエフスキーの生涯」は、簡潔にして秀逸。「ドストエフスキーってのを読んでみようかなぁ」とか考えている年若い読者は、まず最初にこれから読むとよい。格好の道案内となってくれるはずだ。
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コメント

読ませたいですね!
 まだ娘は読んでいません(--;
「カラマーゾフ」は読ませたいですね。

先日、若い内に名作を読もうという話になり
演劇好きで、今は「ヴェニスの商人」を読んで
いるようです。

ロシア文学は矢張り読破してほしいと思って
います。良書は人間の栄養だと思います!
本を読む子に育てたいです。
  • 2007-10-19│00:36 |
  • キャサリン♪ URL│
  • [edit]
キャサリンさま

お嬢様はもう「カラマーゾフ」を読まれましたでしょうか?
今回の新訳は、従来のものと比べてたいへん読みやすいと評判です(私自身はまだ本文を読んでないですが)。
トライされるとよいと思います。なにしろ「世界文学の最高峰」ですから。
  • 2007-10-17│04:36 |
  • 前原 URL│
  • [edit]
 こんにちはm(_)m
そうそう、いま「新訳」がブームですね~。
私が「カラマーゾフ~」を読んだのは高2でしたが
岩波文庫しかなかった気がします。
あの昔の肌色の独特な岩波の装丁で…途中で
何回も読むのが挫折したのを思い出します(^^;
  • 2007-10-16│13:58 |
  • キャサリン♪ URL│
  • [edit]

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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