『鉄人28号』漬けの日々

鉄人28号論 鉄人28号論
光プロダクション (2005/03)
ぴあ

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 マンガは私のライターとしての得意分野の一つなので、マンガ関連の仕事を受ける機会が少なくない。
 で、このところ、横山光輝の『鉄人28号』がらみの仕事をしていたので、頭の中はすっかり鉄人漬け。いまではちょっとした「鉄人28号博士」である。

 刊行中の『鉄人28号/原作完全版』(全24巻・潮出版社)の既刊をくり返し読んだほか、研究本のたぐいを熟読。たとえば、『鉄人28号論』(ぴあ・光プロダクション監修)、飯城勇三著『「鉄人28号」大研究』(講談社)、『「鉄人28号」公式ガイドブック』(小学館)といった本である。

 ちなみに、研究本の中では『鉄人28号論』がいちばんよくできていた。ハードカバーの立派な作りで、内容もすこぶる充実。あらゆる角度からのオタク的探求がなされた一冊である。価格は2500円と安くはないが、鉄人ファンならもっていてよい本だ。

 『鉄人28号』は昭和30年代の子ども向けマンガであるから、素朴といえば素朴な内容なのだが、じっくり読んでみるとやはり名作であると感じる。

 最大の売りであるロボット・バトルにしても、「鉄人が必殺技を出して終わり」というワンパターンには陥らず、毎回趣向が凝らされている。それに、登場するロボットのデザインやアクション・シーンの構図などが、いちいちスタイリッシュ。当時としては画期的なカッコよさだったろう。

 いまの時点から振り返って読んでみると、いろいろ発見もある。
 たとえば、『ゲッターロボ』のように合体して闘うロボットがすでに『鉄人28号』にも登場していて、その先駆性に驚いたり…。
 
 『鉄人28号』は当初、正太郎少年が悪のロボット・鉄人を溶鉱炉に追い込んで倒して終わる短期連載の予定だったという。予想外に人気が高まったために、正太郎が正義のために鉄人をあやつる長編マンガになったのだ。

 「悪のロボットを溶鉱炉に追い込んでやっつける」といえば、映画『ターミネーター2』のラストがまさにそんな展開であった。
 ハリウッドの映画人が日本のマンガを読んでネタを探すのも、近年ではよくあること。ジェイムズ・キャメロンは、『鉄人28号』の当初のアイデアをどこかで読んで「パクった」のかも知れない。

 『ターミネーター2』と『鉄人28号』の類似点は、もう一つある。

 『T2』は周知のとおり、前作では敵だったシュワちゃんのターミネーターが、主人公を守る正義のロボットになる話。「最強の敵が味方に変わる」という展開は、じつは『鉄人28号』の中にもある。「鉄人ワールド」最強のロボット「ブラックオックス」は、のちに正太郎少年が“操縦権”を奪い、鉄人を助ける強い味方になるのだ。

 やはり、J・キャメロンは『鉄人28号』を読んでいたんじゃないだろうか。まあ、パクリというほどではないけれど。
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鉄人28号鉄人28号 (てつじんにじゅうはちごう)は横山光輝原作の漫画、ラジオドラマ、およびそれを映像化したTVアニメ作品、TV特撮作品。それに登場するロボットの名前でもある。リメイクを繰り返し、何度も映像化された人気作品である。巨大ロボットという概念を生み出し

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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