諸星大二郎『碁娘伝』

 諸星大二郎の『碁娘伝(ごじょうでん)』(潮漫画文庫)を読む。2001年に出た同名単行本の文庫化。版元から送っていただいたもの。

 天宝のころの唐を舞台に、碁と剣術の名人である美貌の女殺し屋を主人公にしたアクションである。
 諸星作品の中でも屈指の、徹底した娯楽作。足かけ17年にわたって複数の雑誌で発表された4つの連作短編を収めている。

 後半の2編を『コミックトムプラス』で読んだときにはさしたる印象を受けなかったが、1冊にまとまったものを読み返すと、じつに面白い。それぞれが独立した短編ではあるものの、4編を通読して初めて全体像が見えてくる作品なのだ。

 まだモノクロだった時期の黒澤明の娯楽時代劇にも近い、痛快無比で、それでいて深みもある面白さ。
 

碁を打つことを手談というそうだな。手による対話と…だが、わしは碁を知らぬ……わしが手談をしようと思えば剣を使ってするしかないのだ。


 これは、碁娘との真剣勝負を望む剣豪のセリフ。このように含蓄あるセリフが随所に登場する。

 かくいう私は、じつはまったく碁がわからない。やったことすらない(その私が読んでもこのマンガは十分面白いのだから、大したもの。本物のエンタテインメントである)。碁の好きな人ならなおさら面白いだろう作品。

 
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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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