呉智英『マンガ狂につける薬 下学上達篇』

マンガ狂につける薬 下学上達編 (ダ・ヴィンチブックス)マンガ狂につける薬 下学上達編 (ダ・ヴィンチブックス)
(2007/05/30)
呉智英

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 呉智英著『マンガ狂につける薬 下学上達篇』(メディアファクトリー/1200円)読了。

 雑誌『ダ・ヴィンチ』に95年から長期連載中の「マンガ狂につける薬」の単行本化第3弾。
 
 このシリーズは、呉がオススメのマンガを毎回一作ずつ紹介するエッセイなのだが、つねに活字作品とワンセットにして語るという趣向になっいる。「あるマンガ作品が語っていること、あるいは語りえなかったこと、それは活字の本の中でどう論じられているか。逆に、活字の本の主題は、マンガならどうそれを描いたか」を論じていく連載なのだ。

 このシリーズの面白さの何割かは、マンガ作品と何をセットで取り上げるかという組み合わせの妙にある。その組み合わせがうまくいった場合には、ほんとうに面白い。
 逆に、ネタに困って苦肉の策でセットにしたような回もあって、そういうときは、マンガ・エッセイと書評を無理やり糊付けしたようなチグハグな印象が残る。

 そうした瑕疵はあっても、全体としてみれば価格に見合った面白さが味わえ、情報としての価値も十分である。呉智英は、よい意味で職人的な評論家だと思う。「職人」だからこそ、いただいたお代の分の仕事はきっちりとこなすのだ。

 この第3弾も、マンガ好きなら十分に愉しめる1冊。
 2002年4月号から2006年5月号掲載分をまとめたものなので、その間のマンガ界の話題作が多く取り上げられている。『夕凪の街 桜の国』『失踪日記』『シグルイ』などを呉がどう評価しているかが一望でき、興味深い。

 シリーズ前作『マンガ狂につける薬21』をサイトで取り上げたとき、私はその装丁(↓)を「葬儀の案内状のよう」とこきおろしたのだが、やはり評判が悪かったのか、この第3弾からはデザイナーが変わっている。こんどのブックデザインは上品でよい。

マンガ狂につける薬21 (ダ・ヴィンチブックス)マンガ狂につける薬21 (ダ・ヴィンチブックス)
(2002/03)
呉 智英

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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