『細野晴臣トリビュートアルバム』

細野晴臣トリビュートアルバム-Tribute to Haruomi Hosono- 細野晴臣トリビュートアルバム-Tribute to Haruomi Hosono-
オムニバス、細野晴臣 他 (2007/04/25)
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ


 『細野晴臣トリビュートアルバム』(エイベックス/3400円)をヘビロ中。

 いつも読んでいるブログ「トカトントン」で絶賛されていたので購入したもの。
 「トカトントン」の管理人・デヘヘラーさんは私と音楽・映画・本などの趣味が近く、氏が絶賛されるものはたいてい私にとってもヒットなのである(定期巡回するお気に入りブログというのは、じつに得がたい「アンテナ」だ)。

 果たして、このアルバムも大ヒット。数年前の『HAPPY END PARADE~tribute to はっぴいえんど』に匹敵する上出来のトリビュート・アルバムである。

■収録曲目
ディスク:1
1. 「ろっかばいまいべいびい- Piano Demo ver.-」細野晴臣
2. 「イエロー・マジック・カーニバル」ヴァン・ダイク・パークス
3. 「風の谷のナウシカ」坂本龍一 + 嶺川貴子
4. 「わがままな片想い」コシミハル
5. 「ハイスクール・ララバイ」リトル・クリーチャーズ
6. 「アブソリュート・エゴ・ダンス」東京スカパラダイスオーケストラ
7. 「終りの季節」高野寛 + 原田郁子
8. 「Omukae De Gonsu」miroque
9. 「ハニー・ムーン」テイ・トウワ + ナチュラル・カラミティ
10. 「北京ダック」□□□(クチロロ)
11. 「三時の子守唄」ワールドスタンダード + 小池光子
ディスク:2
1. 「恋は桃色」ヤノカミ(矢野顕子×レイ・ハラカミ)
2. 「スポーツマン」高橋幸宏
3. 「ミッドナイト・トレイン」畠山美由紀 + 林夕紀子 + Bophana
4. 「Turn Turn」コーネリアス + 坂本龍一
5. 「銀河鉄道の夜」といぼっくす
6. 「蝶々さん」ウッドストック・ヴェッツ(ジョン・サイモン、ジョン・セバスチャン、ジェフ・マルダー &ガース・ハドソン他)
7. 「ブラック・ピーナッツ」ヴァガボンド + 片寄明人
8. 「風をあつめて」たまきあや + 谷口崇 + ヤマサキテツヤ
9. 「日本の人」サケロックオールスターズ + 寺尾紗穂
10. 「風来坊」ジム・オルーク + カヒミ・カリィ
11. 「Humming Blues -Demo ver.-」細野晴臣

 細野自身の音楽性の幅広さを反映し、一つのジャンルにくくりきれない多彩な楽曲が並んでいる。それでいて、アルバム全体には見事な統一感がある。
 インスト・ナンバーが多かったりして、BGM的なさりげなさが大きな特長となっている。流しておいて思考の邪魔にならないのだ。YMO以来、細野晴臣の軌跡を追ってきた一音楽ファンとして、これほど心地よいBGMとなるアルバムはめったにない。

 「トカトントン」で各曲解説がなされているのでくわしくはそちらに譲るとして、私はとくに気に入った曲についてだけコメントしよう。

 Disc1では、「風の谷のナウシカ」「ハイスクール・ララバイ」「アブソリュート・エゴ・ダンス」「終りの季節」の4曲。Disc2では「恋は桃色」「スポーツマン」「風来坊」の3曲。以上7曲は私にとって特上の出来だ。

 『風の谷のナウシカ』を知らない人はいなくても、安田成美の歌手としてのデビュー曲となった「風の谷のナウシカ」はあまり知られていないのではないか。映画では使われなかった「イメージソング」だから。
 私は当時、この曲がとても気に入って、シングルレコードも買った。本作では“和風ボサノヴァ”という趣にアレンジされていて、嶺川貴子のウイスパー・ボイスが心地よい。

 「ハイスクール・ララバイ」は「イモ欽トリオ」が歌った大ヒット曲。“テクノ風味の歌謡曲”であった原曲を、リトル・クリーチャーズがジャジーにアレンジして、小粋な大人のポップスに生まれ変わっている。

 「アブソリュート・エゴ・ダンス」は、YMO最大のヒット作『ソリッド・ステート・サバイバー』に入っていた曲。個人的には、YMOの曲の中でも5本の指に入るくらい好きな曲。スカパラがファンキーに熱演。キャスティングの妙だ。

 「終りの季節」は、かつての矢野顕子の名カヴァー(『オーエスオーエス』所収)に勝るとも劣らない仕上がり。

 「恋は桃色」は、アーシーな原曲の上澄みをすくったような清冽なエレクトロニカ。矢野顕子とレイ・ハラカミは、矢野の傑作アルバム『ホントのきもち』でもすでにコラボしており、息の合ったところを見せる。間奏部分の、矢野の生ピアノとハラカミのキーボードがゆらゆらとからみ合う美しさは絶品。
 
 あえて不満点を挙げるなら、YMO時代の曲がたった1曲しかないところ(まあ、YMOのトリビュート盤は過去にあったから、そのためかもしれないが)と、私がいちばん好きなソロアルパム『はらいそ』から一曲も選ばれていないところ。

 すでに発売が決定しているという続編では、「ファム・ファタール」や「マス」「ロータス・ラブ」あたりはぜひ入れてほしいところ。
 アーティストでは、久保田真琴・サンディー夫妻とか、シーナ&ザ・ロケッツにはぜひ登場してほしい。YMO全盛期、私の田舎のレコード屋では、彼らは「YMOファミリー」という同じ棚に入れられていたものだ。
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細野晴臣

細野晴臣細野 晴臣(ほその はるおみ、1947年7月9日 - )は東京都港区 (東京都)|港区生まれのベーシスト、シンガーソングライター、作曲家、音楽プロデューサー、多摩美術大学美術学部芸術学科客員教授。血液型はA型。立教高等学校(現立教新座中学校・高

コメント

ぼのさん

ぼのさんは細野フリークでしたよね。このトリビュート盤はもう聴かれました? すごくいいですよ。

小坂忠って、たしかいまは教会所属のゴスペル・シンガーなんですよね。『ほうろう』とか好きでした。

このアルバムで「風の谷のナウシカ」を歌っている嶺川貴子って、小山田圭吾の奥さんなんですね。初めて知りました。
  • 2007-05-13│11:39 |
  • 前原 URL│
  • [edit]
名曲、『しらけちまうぜ』
以前、スカパラのアルバムで
小沢健二が細野さん作曲で
小坂忠さんの『しらけちまうぜ』をカバーしていて
すごくよかったんですよ。

あれ、細野さんの曲と小沢健二の歌って
相性いいのかな?って思いました。
個人的に『東京シャイネスボーイ』とか歌って
ほしかったんですがねえ(笑)

彼(小沢)は、文筆活動がメインっぽくなってますね。
元・相棒の小山田圭吾の方がYMO関係?の方と
最近、活動してますね。
  • 2007-05-13│03:04 |
  • ぼの URL│
  • [edit]
デヘヘラーさん

いいアルバムを教えてもらいました。

貴ブログでも書かれていましたが、「ヤノカミ」名義のフルアルバムはぜひ実現してほしいですね。
  • 2007-05-12│04:00 |
  • 前原 URL│
  • [edit]
ご紹介ありがとうございました。

こちらこそ、前原さんの記事は毎回欠かさずチェックしております。
まさに私にとっては貴ブログは情報の宝庫と化しております。

第2弾にも期待は高まりますね。
私も「はらいそ」から「ファム・ファタール」に一票。
新しいグループの発見もこういうトリビュートならでは楽しみです。

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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