永島慎二『黄色い涙』


黄色い涙黄色い涙
(2006/11/22)
永島 慎二

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 コンビニのブックコーナーで永島慎二の『黄色い涙』(マガジンハウス/1200円)を売っていたので、つい購入。
 「つい」というのは、この『黄色い涙』とまったく同内容である『若者たち』のコミックスを、私はすでに持っているから。

 ちょっとややこしいけれど、『黄色い涙』のもともとのタイトルは『若者たち』であった。かつてNHKでテレビドラマ化された際、『若者たち』というタイトルが使えなかった(同題の有名青春ドラマが過去にあったから)ために、副題の「シリーズ黄色い涙」(※)からドラマのタイトルがつけられた。
 今回、そのドラマ版をふまえて映画化されたため、『黄色い涙』というタイトルで原作が復刊されたというわけである。

※永島作品の多くには、こうしたシリーズ名が付されている。かの『漫画家残酷物語』もやはり「シリーズ黄色い涙」であり、『そのばしのぎの犯罪』や『少年期たち』は「シリーズ青いカモメ」である、というふうに……。

 永島慎二は私がこよなく愛するマンガ家だが、その作品の大半はいまや絶版状態だ。彼の作品が映画化され、しかも著作がコンビニで売られるなんて、私にとっては狂喜に値する出来事なのである。

 この再刊本、巻末の付録がわりと充実している。

 1.夏目房之介さんによる解説
 2.ドラマ版と映画版の脚本を書いた市川森一による回想エッセイ
 3.映画版の監督である犬童一心へのインタビュー
 4.ドラマ版と映画版にそれぞれ主演した森本レオと二宮和也による「新旧“栄介”対談」

 ……と、4本も記事があって、それぞれ読みごたえがあるのだ。永島ファンならマストバイ。

 犬童一心は『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』の監督だが、そもそも少年時代にテレビドラマ版の『黄色い涙』を観て感動し、それがきっかけで映画監督を志した人なのだそうだ。なんとなく納得。『ジョゼ~』には永島マンガと同じ“空気感”がある。

(私自身はドラマ版の『黄色い涙』を見ていない。1974年放映だから、まだ10歳だったし。自殺してしまったアイドルタレント・保倉幸恵がヒロインを演じたことでも伝説化しているドラマらしいけど……)

 犬童監督インタビューのこんな一節に、度肝を抜かれた。

 永島慎二が亡くなったときに永島慎二を追悼したいって思った人っていっぱいいると思うんですよ。でも、それをちゃんとやったのは俺だっていう。「ざまあみろ」ってことなのかな。いかにも私が永島慎二の最高のファンだみたいなこといってる人たちがいっぱいいるけど、少なくとも『黄色い涙』を復刻させたのは俺だっていう。そのことがすごいうれしい。


 うーん、負けた(笑)。「ざまあみろ」と言われた側の1人として、映画版『黄色い涙』を襟を正して観るとしよう。 
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コメント

森本さん、ごぶさたです。
マンガのほう、順調でしょうか?

この「黄色い涙」は永島作品の中でもわりととっつきやすいというか、マニアでなくても楽しめるものだと思いますよ。青春マンガの佳編です。

ヤフーコミックでサワリだけ立ち読みできます。 ↓

http://comics.yahoo.co.jp/10days/nagasima01/wakamono01/list/list_0001.html
  • 2007-04-14│03:49 |
  • 前原 URL│
  • [edit]
こんにちは。
いつも楽しみにプログを覗かせていただいている者です。
永島先生の「黄色い涙」がコンビニにあったときはかなりおったまげました。
そのときはお金がなかったので買いたい衝動をおさえてお店を出てゆきましたが、前原さんの文章を読んで、やはり買いたい!と思いました。
ジョゼの空気を持つ漫画・・・。
ますます読みたくなってきました。
これからも楽しみに覗かせていただきます。
  • 2007-04-13│20:35 |
  • 森本 URL│
  • [edit]
はじめまして^^

私の旅行ブログで
こちらの記事を紹介させて頂きましたので
ご連絡させて頂きました。よかったらご覧下さい。

紹介記事は
http://tetudouryokou.blog97.fc2.com/blog-entry-236.html
です。

これからもよろしくお願いいたします^^
  • 2007-04-13│10:22 |
  • 鉄道で国内旅行 URL
  • [edit]

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。56歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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