2018年に読んだマンガBEST10



 年末恒例、「今年のBEST10」。最後はマンガのBEST10である。

 基準は、「現在連載中、もしくは今年まで連載していた作品、もしくは今年コミックスが出た作品で、昨年までのBESTには選出していなかったもの」。
 感想を書いたものについては、タイトルをクリックするとレビューに飛びます。

 10作中3作がウェブ連載であるあたりに、時代を感じる。今後は年々、ウェブ連載の比率が上がっていくのだろう。

 順不同だが、しいてBEST3を選ぶなら、『ハコヅメ』『ブルーピリオド』『ランウェイで笑って』の3つだろうか。

泰三子『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』

山口つばさ『ブルーピリオド』

猪ノ谷言葉『ランウェイで笑って』

真造圭伍『ノラと雑草』

吉田覚『働かないふたり』

齋藤なずな『夕暮れへ』

近藤ようこ『見晴らしガ丘にて  それから』
――近藤ようこの初期代表作で、1986年「日本漫画家協会賞優秀賞」を受賞した名作『見晴らしガ丘にて』の、30数年後を描く〝続編〟。
 あの住宅地でいま暮らす人々を描く、珠玉の群像劇。 『見晴らしガ丘にて』登場キャラの30数年後も描かれるなど、正編が好きな人ならなおさら楽しめる。

塩川桐子『ワカダンナ』
――寡作で知られた江戸マンガの名手・塩川桐子が、『コミック乱』(月刊時代劇マンガ誌)という格好の舞台を得て、近年、彼女にしては精力的に作品を発表している。
 これは今年出た短編集。かつての名短編集『ふしあな』よりも、もうちょっと肩の力が抜けた感じが好ましい。

押見修造『血の轍』
――これほど目が離せないサイコサスペンスは、いまほかにない。とにかく絵の迫力がすごい。絵描きとしての押見修造の到達点がここにある。
 あと、全編群馬弁(上州弁)のマンガであり、私にとっては母の故郷の言葉なので、その点にも親しみを覚える。

篠房六郎『おやすみシェヘラザード』
――版元の惹句にいうとおり、「誰も見たことの無い映画レビュー寝落ちバトル百合エロ漫画」。
 絶妙に色っぽいのに下品な「エロ」にはならない絵柄がよいし、映画マニアを唸らせるディテールのくすぐりが素晴らしく、何度も読み返しては楽しめる。

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2018年に観た映画BEST10



 2018年のマイBEST10、今日は映画である。

 今年はわりと「最大公約数的な10本」になった気がする。 
 基準は「2018年中に日本で公開された映画」で、順不同。感想を書いたものについては、タイトルをクリックすると感想に飛びます。

『万引き家族』

『ボヘミアン・ラプソディ』

『孤狼の血』

『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』

『恋は雨上がりのように』

『カメラを止めるな!』

『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』

『シェイプ・オブ・ウォーター』

『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』

『犬猿』

■もう10本選ぶなら?
『素敵なダイナマイトスキャンダル』
『デトロイト』
『スリー・ビルボード』
『タクシー運転手 約束は海を越えて』
『ゲティ家の身代金』
『レディ・バード』
『コンフィデンシャル/共助』
『レッド・スパロー』
『ワンダーストラック』
『ウィンストン・チャーチル  ヒトラーから世界を救った男』

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2018年に聴いた音楽BEST10



 2018年のベスト10、今日は音楽(CDアルバム)編である。

 相変わらず、日常的には1970年代あたりの古いロックなどを聴くことが多いのだが、ここでは今年発表されたアルバムに限定。
 順不同。当ブログやブクログでレビューを書いたものについてはリンクを貼る。

 ジャンルも雰囲気もバラバラな感じだけど、私の中ではちゃんと統一感がある10枚。

ミシェル・ンデゲオチェロ 『カヴァーズ~ヴェントリロクイズム』

KIYO*SEN『organizer』

黒船『Journey』

中村佳穂『AINOU』

挾間美帆『ダンサー・イン・ノーホエア』

土岐麻子『SAFARI』

ブラッド・メルドー『アフター・バッハ』
――バッハもブラッド・メルドーもよく知らない私だが、これはよく聴いた。
 バッハの曲と、バッハにインスパイアされたブラッド・メルドーの曲が交互に出てくるが、両者が違和感なく溶け合っている。ひんやりとした清冽な演奏。

ナイル・ロジャース&シック『It's About Time』
――シックの26年ぶりの復活作。
 シックは元々ナイル・ロジャースのバンドだったわけだが、今作は「ナイル・ロジャース&シック」名義となって、そのことがいっそう鮮明に。
 相変わらずオシャレできらびやかなサウンドながら、その底には硬派な美学が一貫して流れている。「アイ・ダンス・マイ・ダンス」なんて曲には、とくにそれが顕著だ。「周囲がどうであれ、時代がどうであれ、私は私のダンスを踊るのみ」という、「我が道を行く」宣言がそこには込められている。

Glider『Dark II Rhythm』
――ムーンライダーズとかに通ずる、「東京郊外ロック」。〝日常の中にある都市感覚〟を極上のメロディーで表現した傑作。

ニール・ヤング『ロキシー:トゥナイツ・ザ・ナイト(今宵その夜)・ライヴ』
――名盤『今宵その夜』(1973年)発売当時の「ロキシー」での伝説的ライヴを、今年初めてオフィシャル・アルバム化。ラフな演奏のようでいて、みなぎる緊張感がすごい。

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2018年に読んだ本BEST10




 年末恒例の「今年のBEST10」、まずは一般書のBEST10から。
 例によって「小説は除く」という縛りをかけ、今年刊行された本から選んだ。
 
 順不同で、読んだ順に並べただけだが、この中からしいてBEST3を選ぶとすれば……。

シッダールタ・ムカジー『遺伝子――親密なる人類史』
 サイエンス・ノンフィクションでありながら、物語の醍醐味が味わえる大著。

ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス――テクノロジーとサピエンスの未来』
 前作『サピエンス全史』よりは一段落ちる。それでも再読三読に値する、壮大なる未来図。

松林薫『迷わず書ける記者式文章術――プロが実践する4つのパターン』
 文章読本の新たなスタンダードとして、長く読み継がれるであろう名著。

 タイトルをクリックすると、当ブログ(もしくは「ブクログ」)のレビューに飛びます。

竹中千春『ガンディー 平和を紡ぐ人』

橘玲『80's (エイティーズ) ――ある80年代の物語』

シッダールタ・ムカジー『遺伝子――親密なる人類史』

松林薫『迷わず書ける記者式文章術』

植木雅俊『法華経(100分 de 名著)』

山田ルイ53世『一発屋芸人列伝』

ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』

竹熊健太郎『フリーランス、40歳の壁』

呉智英『日本衆愚社会』

鈴木智彦『サカナとヤクザ――暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』

■次点
原田隆之『サイコパスの真実』
山口周『劣化するオッサン社会の処方箋――なぜ一流は三流に牛耳られるのか』
梯久美子『原民喜――死と愛と孤独の肖像』

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『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』



 ナンシー・ケリガン襲撃事件でフィギュアスケート界を追われた、スケート界のダーティー・ヒロイン、トーニャ・ハーディングの半生を描いた映画。



 観て思い出したのは、シャーリーズ・セロンが実在の女性シリアル・キラーを演じた『モンスター』だ。

■関連エントリ→ 『モンスター』

 あの映画同様、本作のマーゴット・ロビーも、ふだんのゴージャス美人ぶりをかなぐり捨てて、DQNなトーニャ・ハーディングになりきっている。ものすごい熱演である。

 フィギュアスケーターには「お嬢様」のイメージがあるし、じっさいお嬢様が多いのだろうが、トーニャの周囲は貧しく下品なDQNだらけ。すさまじい毒母に育てられ、若くして結婚した夫からはDVを受ける。
 ただし、トーニャは彼らに虐げられるだけの弱者ではなく、自らも暴力と暴言で激しく応戦するのだ。

 ……というと、暴力的でやりきれない映画のように思えるかもしれない。が、実際に観てみれば、黒い笑いが随所で炸裂する痛快な作品に仕上がっている。

 トリプルアクセルを決めるシーンをはじめ、スケートシーンの迫力と美しさも素晴らしい(むろん映像処理で作られたものだろうが、そのことを意識させない)。

 あの襲撃事件の真相については、『羅生門』形式で玉虫色の描き方をし、観客に判断を委ねている。が、私はトーニャは周囲に巻き込まれただけなのだろうと感じた。

 「嫌われ者」トーニャ。私も事件当時のトーニャには悪印象しかなかったが、映画を観終わったあとには彼女が愛おしく思えてきた。
 お嬢様キャラのナンシー・ケリガンに闘いを挑む底辺育ちのトーニャに、否応なしに肩入れしてしまうのだ。そのへんが「映画のマジック」というものだろう。

 音楽もよい。使われているのは1970年代のヒット曲が中心で、実際に描かれている90年代とはズレがあるのだが、どの曲もドンピシャのハマり具合である。

 幼少期のトーニャを演じるマッケナ・グレイスの演技も、出演時間は短いながら素晴らしい。
 傑作『gifted/ギフテッド』に主演し、鳥肌ものの名演技を見せたあの子である。すっごい名子役だと思う。

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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴32年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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