佐々木かをりさんを取材

さっと書けて心が伝わる英文メール術―あなたのビジネスをパワーアップ!さっと書けて心が伝わる英文メール術―あなたのビジネスをパワーアップ!
(2005/12)
佐々木 かをり、ダーシー アンダーソン 他

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 今日は、イー・ウーマン代表取締役の佐々木かをりさんを取材。表参道のオフィスにて。
 
 ご著書のイメージそのままの方であった。明るくて、気取りがなく、パワフル。
 しかも、こちらの質問に、じつに的確で無駄のない答えが返ってくる。テープを起こせば、言葉を整理しなくてもそのままコメントに使える感じ。素晴らしい。
 
 私たちが取材を終えたすぐあとに、どこか別のメディアの取材チームが入れかわりで入ってきた。さすが売れっ子。
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「クロサワ、世界の映画王」(「PLAYBOY」2008年3月号)

PLAYBOY (プレイボーイ) 日本版 2008年 03月号 [雑誌]PLAYBOY (プレイボーイ) 日本版 2008年 03月号 [雑誌]
(2008/01/25)
不明

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 今日は、新宿区の落合斎場で行なわれた、新聞記者・水上靖彦さんの通夜へ――。
 同じ週の間に2人の友人の葬儀がつづくというのは、私の人生初である。さすがに、ちょっとめげる。

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 帰途、中野で下車。月刊『PLAYBOY』の最新号で黒澤明の特集が組まれていると聞いたので、購入しようと思ったしだい。

 「中野ブロードウェイ」の中にある、中規模の書店(店名忘れた)。
 メガネっ娘の可愛い店員に「月刊『PLAYBOY』を探しているんですが」と聞いたところ、彼女はレジの先輩店員に「月刊『PLAYBOY』ってありますか?」と尋ねた。
 「そのへんだと思うけど」と先輩店員が指差した先は、H雑誌が山積みのコーナー(笑)。ハハァ、『PLAYBOY』という誌名から「H雑誌だろう」と思われたわけだな(ま、たしかにセンターフォールドに金髪女性のヌードグラビアはあるけど)。

 で、そのメガネっ娘店員は汚いものに触れるような手つきでH雑誌を2、3触ったあと、「あの~、売ってないみたいなんですがぁ」と言った。

 べつに、見ず知らずの書店員にエロオヤジだと思われてもいいのだが、なんとなく意地になってしまい、そのあと10分ほど1人でその書店の中を探したところ、月刊『PLAYBOY』は「男性ファッション誌」の棚にちゃんとあった。それも平積みでたくさん。
 そりゃそうだ。今日が発売日だし、中規模書店に月刊『PLAYBOY』がないってこたぁない。

 で、さっきの店員に、「あったよ」と雑誌を示してからレジへ。彼女は 「も、申し訳ございません」とあわてた様子。カワイイから許す(笑)。

 しかし、最近の書店員はオソロシク質が低いなあ。紀伊國屋書店とかジュンク堂などの大手なら、けっしてこんなお粗末なことはないけれど。

 で、そんないきさつのすえに読んだ特集「クロサワ、世界の映画王」なのだが……、大した内容ではなかった。

 というのも、ほかの「クロサワ本」ですでに紹介されている話をただなぞっただけのような記事が散見されるから。
 たとえば、橋本忍へのインタビュー記事は、橋本の近著『複眼の映像』に書いてある話しか出てこない、という具合。ただし、それらの本を読んだことがない人にとっては十分愉しめる。つまり、「クロサワ入門」としてはよくできた特集なのだ。

 まあ、いくつかよい記事もあったので、黒澤ファンなら買って損はないと思う。とくに、ドナルド・リチーへのインタビュー記事は、短いながらも秀逸。 
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『花影』

 『花影(はなかげ)』を観た。3月8日公開の邦画。監督はこれがデビュー作の河合勇人という人で、脚本は大御所・市川森一。

  公式サイト→ http://www.hana-kage.jp/

 なんとも古風なタイトルの映画だが、内容もかなり古風である。山本未來演ずるジュエリーデザイナーの在日女性と、若手韓流スター、キム・レウォン演ずる韓国人青年の恋を描く、ファンタジックなラブストーリーだ。
 釜山郊外の大きな墓園に咲く満開の桜の花が、物語の重要なアクセントになる。ゆえに、タイトルが「花影」。

 ストーリーにも演出にも先鋭的な面がまったくなく、きわめてオーソドックス。テレビドラマのようにこぢんまりとまとまった作品で、正直、映画館の大きなスクリーンで観たいとは思えない。

 前半はありきたりなメロドラマという印象で、退屈。
 ヒロインは自らの名を冠したジュエリー・ブランドをもち、銀座の一等地に店舗を構えるほどの売れっ子という設定なのだが、人物像が紋切り型で深みがまるでない。彼女の不倫相手が売れっ子カメラマンで……などという設定も、安手のレディースコミックのようだ。

 しかし後半、物語が転調してファンタジックな展開になるあたりから、俄然面白くなる。ネタバレになるのでくわしく書けないが、萩尾望都の短編マンガ「マリーン」を彷彿とさせるストーリーである。

 キム・レウォン演ずるサンウとの恋を通じて、ヒロイン・尚美は大きく変わっていく。
 なるほど、前半の紋切り型なキャラ作りも、この後半のための長い伏線であったのか、と感心した。 
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メメント・モリ

 年長の友人であり、物書き稼業のよき先輩でもあった河林満さんが亡くなられた。

 

  訃報:河林満さん 57歳 死去=作家
 河林満さん 57歳(かわばやし・みつる=作家)19日、脳出血のため死去。葬儀は23日午前11時、東京都日野市日野本町3の6の19の宝泉寺会館。自宅は昭島市拝島町3の10の5の708。喪主は妻幸恵(さちえ)さん。
 1990年に「渇水」で文学界新人賞を受賞。同作品などで2回芥川賞候補になった。(毎日新聞 2008年1月21日 東京夕刊)



 脳出血で倒れた、という知らせを受けたのが4日前の夜。翌日私が病院にお見舞いに行ったときには、すでに意識不明であった。

 倒れる数時間前に家を出たときには、いつもと変わらず元気にしておられたという。だから「交通事故に遭ったような気持ちです」と、奥様が言っておられた。

 私と同年代の主人公が突然脳梗塞で倒れる映画『潜水服は蝶の夢を見る』を観たばかりでもあり、脳出血・脳梗塞は恐ろしいと心底思う。若いころとはまったく違う、リアルな恐怖を覚える。
 死は、私たちがふだん感じているよりもずっと近く、薄皮一枚隔てただけのところにあるのだ。

 河林さんは、私が20年あまり前に上京してきたころ、同じ立川に住んでいたこともあり、いちばんお世話になった方である。
 思い出は尽きない。「恩返しをしないうちに亡くなられてしまった」という喪失感もある。と同時に、「死後も書いたものはずっと残っていく」という物書きの幸福も、改めて感じる。

 ご冥福をお祈りしたい。
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ジャン=ドミニック・ボービー『潜水服は蝶の夢を見る』

潜水服は蝶の夢を見る潜水服は蝶の夢を見る
(1998/03/05)
ジャン=ドミニック ボービー

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 ジャン=ドミニック・ボービー著、河野万里子訳『潜水服は蝶の夢を見る』(講談社)読了。
 先日映画版の試写を観て感動したので、原作も読んでみたしだい。中編小説程度の長さなので、あっという間に読み終わる。

 原作を読むと、映画版は大幅にアレンジされていることがわかる。おそらく、遺族や関係者にかなり追加取材をしたうえで原作を潤色しているのだと思う。そして、そのアレンジがことごとくうまくいっているのだ。

 著者のウイットに富んだ洗練された文体は、たしかに素晴らしい。この本が「20万回のまばたき」の結果できあがったことを考えれば、奇跡のような完成度だと思う。

 そのうえであえていうなら、原作より映画のほうがはるかに素晴らしく、独創的で美しい。
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勝間和代『効率が10倍アップする新・知的生産術』

効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法
(2007/12/14)
勝間 和代

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 勝間和代著『効率が10倍アップする新・知的生産術――自分をグーグル化する方法』(ダイヤモンド社/1500円)読了。

 最近ベストセラーを連発している公認会計士・経済評論家の著者が、自分流の「知的生産の技術」を開陳したもの。

 これは、なかなかのものだった。詰め込みすぎなほど情報がぎっしりで、これで1500円は安いと思う。

 アマゾンのカスタマーレビューを見ると、この本について、「著者が言っていることにはあたりまえのことが多い」とクサしているものが散見される。

 たしかに、そういう面はある。“飲酒や喫煙は知的生産の妨げになるからやめるべき”だとか(著者は実際に数年前から飲酒・喫煙をやめたという)、“立場の異なる論者の本を併読することで視点の偏りを防ぐ”だとか、「そんなことは言われなくてもわかっている」という指摘が少なくないのだ。

 しかし、そのことをもって本書を愚書と断ずるのは的外れである。

 第一に、ある人の知的生産法というのは、目からウロコが落ちるような画期的手法ばかりで成り立っているわけではない。ごくあたりまえのことを着実にこなすことで知的生産を効率化する、という面もある。したがって、著者としては、「あたりまえのこと」がなぜたいせつなのかを、改めてわかりやすく説明する必要もあったのである。

 第二に、本の中に「あたりまえのこと」を一定の割合で織り込むのも、読みやすい本を書くための重要なテクニックだ、ということがある。

 私は、ライター稼業の大先輩(著書を100冊以上もっている人)からこんなアドバイスを受けたことがある。

「本を書くときには、誰でも知っているようなことを2割くらい盛り込むといいよ。『こんなこと誰でも知っているから、いまさらここに書かなくてもいいだろう』というようなことを、あえて書いておくんだよ。読者というのは、『自分も知っていること』が本の中にあることで安心するんだ。知らないことばかり書いてあるような本は読む気がしない。知っていることもある中に知らないこともあるからこそ、そのことに感心するんだ」



 本書の著者・勝間氏は、そのへんのコツをよーくわきまえている。

 私が大いに同意したり、「これはいいサジェスチョンだ」と思ったりして傍線を引いたくだりを、いくつか挙げてみる。

 

 何かの知的生産を行なう時に、集中力を上げるために必要なものは、意志の力でもなく、スマートさでもなく、単純に体力です。
  *       *       *
 食生活を知的生産性と結びつける習慣がある人は稀で、片方で一生懸命勉強や作業をしていても、もう一方で非常に頭に悪い食生活をしています。
  *       *       *
 失敗してしまったら、そこからの学びを文章にまとめてください
  *       *       *
 周りのことを、数値化するクセをつけます。お店に入ったら、席数を数え、回転率を数え、客単価を考えるなど、数値を常に意識します。
  *       *       *
 この方たち(※引用者注・有能で社会的に活躍している女性たち)に徹底しているのが、自分が得意なことに集中するという姿勢です。結局、私たちの気力も体力も有限ですから、自分が得意なこと、不得意なことをしっかりと見極めて、ムダ玉を打たないようにするということです。
  *       *       *
 情報を入手する際には、視覚だけに情報源を制限するのはとてももったいないことなのです。よく、勘が働く、勘が研ぎすまされる、という表現を使いますが、その勘の多くの部分は、視覚だけではなく聴覚や触覚、嗅覚などを合わせた「共感覚」として働く部分が多いのです。



 難をいえば、全体に“マッキンゼー出身者独特の臭み”が感じられる。大前研一ほどではないが、著者には自分の有能さを臆面もなくひけらかすところがあって、ちょっと鼻につくのだ。
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『地上5センチの恋心』


地上5センチの恋心 [DVD]地上5センチの恋心 [DVD]
(2008/09/26)
カトリーヌ・フロ、アルベール・デュポンテル 他

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 京橋の映画美学校第一試写室で、『地上5センチの恋心』の試写を観た。3月1日公開のフランス/ベルギー合作映画。

 公式サイト→ http://www.chijou.jp/

 パリの売れっ子作家と、その熱烈なファンであるベルギーの平凡な主婦。住む世界がまるで違う2人の奇跡のような恋を描いた、ファンタジックなラブコメディ。

 一言で言えば、「逆『ミザリー』」という感じの映画だ。
 周知のとおり、スティーヴン・キング原作の映画『ミザリー』は、売れっ子作家が熱烈な女性読者の度を越えた執着心によって地獄を見る映画であった。この映画は逆に、自信を喪失した人気作家を、熱烈な女性読者が蘇生させる物語なのである。

 新作を酷評されると同時に妻にも裏切られ、鬱状態に陥った人気作家バルザンは、ふと、女性ファンからの熱烈なファンレターを手に取る。「私はあなたの作品によって絶望から救われました」という文面に心動かされ、バルザンは手紙の主・オデットの家を訪ねる。

 「ノーベル賞って、文学賞もあるの?」とマジメな顔で言うような、無知無教養なフツーのオバサンであるオデット。しかし彼女は、知識はなくとも幸せに生きるための「智慧」に満ちた女性だった。天真爛漫で周囲の人に幸をふりまく彼女に、バルザンはいつしか本気で惹かれていく。 

 監督・脚本のエリック=エマニュエル・シュミット自身、売れっ子小説家でもある(これが初監督作)。彼自身が女性ファンからもらった手紙から着想したというこの映画は、さすがに、フランスの文壇/出版関係者の人間模様がすこぶるリアルだ。

 オデットを演じるのは、ベテラン女優カトリーヌ・フロ。1957年生まれの大熟女だが、ストーリーが進むにつれてどんどんチャーミングに見えてくる。少女のようにピュアな心を保った、なんとも「かわいいオバサン」なのである。 
 
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佐々木かをり『佐々木かをりの手帳術』

佐々木かをりの手帳術佐々木かをりの手帳術
(2005/10/27)
佐々木 かをり

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 佐々木かをり著『佐々木かをりの手帳術』(日本能率協会マネジメントセンター/1470円)読了。

 この間読んだ『ミリオネーゼの手帳術』につづく、佐々木さんの2冊目の「手帳本」。
 『ミリオネーゼの手帳術』の内容をさらに掘り下げたものともいえるし、1冊目に書ききれなかったことを補足したものともいえる。

 『ミリオネーゼの手帳術』と重複する点も多いので、同書を先に読んでいる私にとっては感動は二割減といったところ。

 ただ、もちろん本書独自の内容も多く、メモしておきたいようないい言葉も少なくない。たとえば――。

 

 手帳は、私にとって、まだ白紙の人生脚本だと思っている。(中略)人生の時を刻んだ真っ白な巻物が、一週間分ずつに裁断され、一年間分がまとめて製本されたものが、私たちが手にしている一年ごとの手帳だ、と考えてみよう。手帳は、まさに、これからの人生の下書きをしていく、計画を立てていく、脚本を書いていくためのものなのだ。 (中略)計画を立てていないと、行き当たりばったりのシーン展開が多くなる。俳優ならば、うまくストーリーが展開するように適当なセリフが交わされていく。これではいい人生脚本、ハッピーな人生脚本にはならない。
 私たちは、自分の人生脚本に、自分が、いつ、何をするかという行動計画を立てていく。計画をして、そのとおりに行動する。また計画をして、行動する。この連続が、人生を組み立てていくことなのだ。そして、これを繰り返し繰り返し続けることで、自分の人生は自分でつくり出すことが可能であることを体感できる。結果的に、自分の主役力を高めることにもなる。



 佐々木さんの人生哲学は、いつもこのようにシンプルで前向きだ。そして、その人生哲学の一つの具現化が、彼女の手帳術なのである。 
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中川ヨウ『ジャズに生きた女たち』


ジャズに生きた女たち (平凡社新書)ジャズに生きた女たち (平凡社新書)
(2008/01)
中川 ヨウ

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 中川ヨウ著『ジャズに生きた女たち』(平凡社新書/760円)読了。
 女流ジャズ評論家の第一人者が、ジャズ史の中に大きな位置を占める8人の女性たちについて綴った音楽エッセイ集。

 味わい深いエッセイであると同時に、風変わりな「ジャズ入門」として読むこともできる。8人のジャズ・ウイメンの人生素描を通じて、ごく自然な形でジャズ史を概観することができるのだ。

 中川ヨウさん(かつては「中川燿」という表記だった)には、かれこれ15年ほど前に一度お会いしたことがある。たいへん美しい素敵な女性で、会った瞬間、「あ、この方は“顔文一致”だ」と思ったものだ。詩的で美しい彼女の文章と、見事なくらいイメージが重なり合ったのである。

 誰にも真似できない、ワン・アンド・オンリーのジャズ評論/エッセイを書かれる方である。
 マイルス・デイヴィスが亡くなったとき、いまはなき『シティロード』に彼女が寄せた追悼文など、あまりにいい文章だったので、切り抜いて自作の「名文スクラップ・ブック」に入れておいた。引っぱり出してきて、一部引用してみよう。

 

 9月28日、マイルスが逝った。
 どうりで。大きな星が落ちる音がしたと思った。

 マイルスは、死ぬまでいい男だった。
 アイスクリームばかり食べていても、それは彼の男らしさを損なわなかったし、贅肉知らずの体は、母親譲りの好みである、派手でヒップな服がよく似合った。
 マイルスの、カツラも、私は好きだった。あのカツラは、帝王マイルスの王冠だったから。
 拒絶と誘惑が黄金の比率でちりばめられた、大きな眼でギロっと見られると、いつも私は足がすくんで動けなくなった。(後略/『シティロード』1991年11月号) 



 この『ジャズに生きた女たち』は、各章の一部が主人公の女性のモノローグ形式で書かれている。エッセイというより小説に近いこの部分が、じつに中川さんらしくてよい。

 ちなみに、これは中川さんの2冊目の単著にあたる。1冊目の著書『中川燿のジャズ・ダイアリー』(時事通信社)も名著なので、こちらもオススメ。

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雇い主は観客

 ジョニー・デップがテレビ番組のインタビューで言っていたことに感心したので、メモ(記憶で書くので細部は違っているかもしれないが)。
 
 かねてより「いちばんサインをもらいやすいハリウッド・スター」として知られるデップ。インタビュアーが「あなたがそんなにファンをたいせつにされるのはなぜですか?」と質問すると、大要次のように答えた。

 

「ボクは『ファン』という言い方があまり好きじゃないんだ。応援してくれる人たちのことを、ボクは『ファン』ではなく『サポーター』だと考えている。さらに言えば、彼らこそがボクやティム(・バートン)の『雇い主』でもある。だからこそ、ボクはできるだけ長い時間を彼らと一緒に過ごしたいと考えているんだよ」



 いや、まったくそのとおりだと思う。沢尻某にも聞かせてやりたい。
 俳優の「雇い主」はお金を払って映画を観に来てくれる観客だし、政治家の「雇い主」は有権者だし、我々ライターの「雇い主」は読者だ。

 そのへんのことを勘違いして、観客や有権者より一段も二段も高みにいると勘違いしている俳優や政治家が多すぎる。

 最後まで生き残るのは、デップのような意識をもったスターだと思う。

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岸本裕紀子『ヒラリーとライス』


ヒラリーとライス アメリカを動かす女たちの素顔 (PHP新書)ヒラリーとライス アメリカを動かす女たちの素顔 (PHP新書)
(2006/11/16)
岸本 裕紀子

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 岸本裕紀子『ヒラリーとライス/アメリカを動かす女たちの素顔』(PHP新書)読了。

 書名のとおり、ヒラリー・クリントンとコンドリーザ・ライス(米国務長官)という、アメリカきってのスーパー・ウーマン2人を徹底比較した本。
 要は、ビジネスマン向け雑誌でよくやる「あなたは信長型? 家康型?」などという企画の女性向けヴァージョンといったところだ。

 企画としてはたいへんいいと思うが、内容はやや底が浅く、企画倒れという印象。
 「2人とも蠍座の生まれだが、蠍座の女の性格は……」みたいなどうでもいい話が出てきたり、ヒラリーとライスのヘアスタイルやファッションを比較するくだりがあったりと、女性週刊誌的な視点からの記述が多すぎるのだ。 
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『潜水服は蝶の夢を見る』

潜水服は蝶の夢を見る潜水服は蝶の夢を見る
(1998/03/05)
ジャン=ドミニック ボービー

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 六本木のアスミック・エース試写室で、『潜水服は蝶の夢を見る』の試写を観た。2月公開のフランス/アメリカ合作映画。

 公式サイト→ http://www.chou-no-yume.com/

 ジャン=ドミニク・ボビーの自伝『潜水服は蝶の夢を見る』(邦訳・講談社)の映画化。ジャンは原作が出版された直後に亡くなったが、本はベストセラーとなり、現在までに31ヶ国で刊行されている。 

 世界的なファッション誌『ELLE』の編集長として人生を謳歌していたジャンは、42歳のある日、脳梗塞から「ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)」と呼ばれる全身麻痺に陥る。記憶も知能も正常のままだが、動くのは左眼だけ。潜水服の中に閉じこめられたような状態だ。

 深く絶望し、一度は死を望んだジャンだったが、やがて、闇の中に一条の希望の光を見出す。それは、左眼のまばたきを用いて自分の意志を他者に伝えられるという事実であった。

 そしてジャンは、なんとまばたきで自伝を書き上げることに挑戦する。
 使用頻度順に並べられたアルファベット表を読み上げてもらい、目指す文字のところまで来たらまばたきで合図する――それを20万回以上くり返すという途方もない作業のすえ、奇跡の自伝はついに完成するのだった。

 絶望の淵から這い上がっていくジャンの壮絶な闘い、彼を見守る家族や医療スタッフとのあたたかいふれあい――生きることの意味を問いかけ、心を揺さぶる傑作だ。

 ……と、そのように紹介すると、人畜無害で“映画としての色気”に乏しい作品を想像されるかもしれない。
 だが、そうではない。画家でもある監督のジュリアン・シュナーベルが作り上げた映像は詩的で美しく、イマジネーションに富んでいる。また、品のよいユーモアも随所にちりばめられた作品なのだ。

 ジャンの妻セリーヌ、言語療法士のアンリエット、理学療法士のマリー、編集者のクロード――それぞれの役を演ずる女優たちはみな知的で清潔感があり、揃ってチャーミング。
 とくに、アンリエット役のマリ=ジョゼ・クローズはすこぶる美しい。私は彼女を見ているだけで幸福な気分になった。
 
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『タクシデルミア ~ある剥製師の遺言~』

 京橋の映画美学校第二試写室で、『タクシデルミア ~ある剥製師の遺言~』の試写を観た。3月公開のハンガリー映画。

 公式サイト→ http://www.espace-sarou.co.jp/taxidermia/

 「タクシデルミア」とは、ハンガリー語で「剥製術」の意。タイトルのとおり、剥製師の若い男・ラヨシュを主人公にした作品だ。
 ただし、物語は3部形式になっており、ラヨシュが登場するのは最後の第3部のみ。第1部は、第一次大戦で一兵卒だったラヨシュの祖父ヴェンデルの物語。第2部は、ラヨシュの父で、共産主義政権下の早食いチャンピオンだった巨漢カルマンの物語。
 激動のハンガリー現代史を背景に綴られる、男三代の物語だ。

 先に試写を観た方が「『ブリキの太鼓』を彷彿とさせる作品」とブログに書かれていて、『ブリキの太鼓』が好きな私は大いに期待して試写に臨んだ。その期待はある面では裏切られたが、別のある面では期待を上回る型破りの作品であった。

 とてつもなく下品で猥雑でグロテスクな映画である。
 『ブリキの太鼓』にもそういう面があったが、この『タクシデルミア』のほうが、下品さも猥雑さもグロ度も数段上だ。どんなふうにグロで下品なのか、ここで説明するものはばかられるほど。

 それでもなお、この映画は非常に美しく、どす黒いユーモアに満ち、なおかつ感動的なのだ。
 グロテスクでありながらビューティフル。下品でありながら静謐。猥雑でありながらシュールで魅惑的。

 けっしてデートで観てはいけない映画だが(もしデート・ムービーに選んだら、『タクシードライバー』のトラヴィスのように即フラれること間違いなし)、『ブリキの太鼓』『デリカテッセン』『コックと泥棒、その妻と愛人』あたりの奇妙な映画が好きな人なら、絶対に愉しめるはず。
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アメリカ『ザ・デフィニティヴ・アメリカ』

ザ・デフィニティヴ・アメリカ(ベスト)ザ・デフィニティヴ・アメリカ(ベスト)
(2001/07/25)
アメリカ

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 JOMOのテレビCMに、アメリカの「名前のない馬」が使われている。オリジナルではなく、Venice(ベニス)というグループによるカバーだ。

 久しぶりに聴いて、改めて名曲だと感じ入った。で、アメリカが聴きたくなって、彼らのベスト盤『ザ・デフィニティヴ・アメリカ』を購入。

 このアルバムは、「名前のない馬」「ヴェンチュラ・ハイウェイ」(私はこれがいちばん好き)「金色の髪の少女」「ひなぎくのジェーン」などの70年代の定番ヒット曲はもちろん、80年代の「風のマジック」などまで収めている決定盤ベストだ。

 ああ、やっぱりいいなあ。「花に雨が必要であるように、僕には君が必要だ/冬が春を求めるように、僕は君を求める」と歌う「アイ・ニード・ユー」も、心にしみる。
 このようにシンプルで美しい、夾雑物が微塵も入っていない感じのラブソングが、最近あまりないように思う。
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ラウル・ミドン『世界の中の世界』

世界の中の世界世界の中の世界
(2007/08/29)
ラウル・ミドン

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 ラウル・ミドンのセカンド・アルバム『世界の中の世界』(EMI/2300円)を購入。
 2005年のファースト・アルバム『ステイト・オブ・マインド』も素晴らしかったけれど(→前作のレビュー)、これまた傑作だ。

 ラウル・ミドンは、「21世紀のスティーヴィー・ワンダー」とも評される(私が言っているのだが)盲目のシンガー・ソングライター/ギタリストである。

 シンガーとしても、ソングライターとしても、ギタリストとしても素晴らしい才能の持ち主だ。

 艶やかで深みのあるヴォーカルは、スティーヴィー・ワンダーをもっとセクシーにした感じ。
 ソウル/R&Bを土台にしてラテン・フレイバーをくわえた作風は、高い精神性を孕みながらも、あくまでポップでメロディアス。
 そして、おもにアコースティック・ギターを用いながらも、弦を打楽器のようにパーカッシヴに扱うそのギター奏法は、誰にも真似できない斬新なものだ。

 このセカンド・アルバムは、ファーストほどギターに比重が置かれていない。前作のタイトルナンバーのような、聴く者を驚かせた独特の奏法はあまり披露されておらず、ごくふつうのギターの音になっている(目立たない形で高度なテクが用いられているのだろうが)。

 その分、前作以上に曲がメロディアスでポップ。シングルカットできそうな曲がたくさんある。
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坂東眞理子『女性の品格』


女性の品格 (PHP新書)女性の品格 (PHP新書)
(2006/09/16)
坂東 眞理子

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 板東眞理子著『女性の品格』(PHP新書)読了。

 言わずと知れた、2007年最大のベストセラー。200万部突破だそうだ。
 仕事上の必要があって読んだのだが、この本がなぜそんなにも売れたのか、私にはさっぱりわからなかった。「謎のミリオンセラー」である。

 とにかく、最初から最後まで「あたりまえのこと」しか書いていない。たとえば――。

 バーゲンなどで山盛りになっている商品のなかから、いいものはないかと掘り出し物をあさるのは、あまり品のいい姿ではありません。またバーゲンでない場合きちんとたたんでおいてある品を手当たり次第にひっくり返すのはやめましょう。自分のものでない、これから売ろうという商品は丁寧に扱うべきです。
          *      *      *
 約束の時間の五分前に着くようにすることは、品格ある生活を送る秘訣といっても過言ではありません。



 ……と、こんなふうに、「赤信号を無視して道路を渡るのは、品格ある女性の姿とは言えません」(さすがにそこまでは書いてないが)みたいな「あたりまえ」が列挙されているだけ。目からウロコが落ちるような指摘とか、著者を見習って生活の中に取り入れたいと思うようなノウハウが、見事なくらい一つもない。

 大昔の『塩月弥栄子の冠婚葬祭入門』などという本と変わらない。なのに、なぜ200万部?  まあ、「ご説ごもっとも」のことばかりが書かれているから、あえて内容に反論しようという人もいないのだろうけど。
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島田裕巳『中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて』

中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて
(2007/04)
島田 裕巳

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 島田裕巳著『中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて』(亜紀書房/1700円)読了。

 近年はかなりいいかげんな本も書き飛ばしている島田氏だが、オウム事件を総括した大著『オウム/なぜ宗教はテロリズムを生んだのか』(2001年)はとてもよい本だった。

  → 『オウム/なぜ宗教はテロリズムを生んだのか』レビュー

 本書は、その『オウム』の続編というか、そこから派生した“スピンオフ本”というか。
 オウムの教義に強い影響を与え、オウムの「第二の教祖」「隠れた教祖」とも評される中沢の、オウムに対するスタンスを批判したものである。

 深みはないが、学者の書いた本としては例外的に読みやすい平明さは好ましい。 
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佐々木かをり『ミリオネーゼの手帳術』

ミリオネーゼの手帳術―8ケタ稼ぐ女性に学ぶサクサク時間活用法ミリオネーゼの手帳術―8ケタ稼ぐ女性に学ぶサクサク時間活用法
(2003/11/30)
佐々木 かをり

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 佐々木かをり著『ミリオネーゼの手帳術』(ディスカバー・トゥエンティワン)読了。
 先日来つづけざまに読んでいる佐々木さんの著書、今回は手帳術の本である。

 私はわりと「手帳オタク」であって、山根一眞、長崎快宏をはじめとした過去の「手帳本」もたくさん読んでいる。その私の目から見ても、これはかなり優れた「手帳本」だ。
 
 佐々木さんの提唱する手帳術はシンプルで、読者にも即座に取り入れられるものばかり。そして、個々の細かいノウハウの背景に、しっかりとした一つの人生哲学が流れている。
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佐々木かをり『シゴトのバイブル 入門編』ほか

シゴトのバイブル 入門編シゴトのバイブル 入門編
(2006/06)
佐々木 かをり

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 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 私は元日からいきなり仕事で、しかも今月1日たりとも休みが取れそうにありません。
 重めの原稿を書いたら、次は息抜きに軽めの原稿を書く、という感じ。「土俵のケガは土俵の砂で治していくんですよ」みたいな(笑)。

 でもまあ、充実した日々です。
 人間、こんなふうにがむしゃらに仕事すべき時期もあるわけで。 
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 佐々木かをり著『シゴトのバイブル 入門編』(PHP研究所)、『人生をプラスに広げる5つの視点』(光文社知恵の森文庫)読了。

 『シゴトのバイブル 入門編』は、20代の若者をおもな対象に、仕事に対する心構えなどをわかりやすく説いた本。40代フリーランサーの私が読んでも参考になる。

 徹底して前向きな著者の姿勢が気持ちよい。たとえば――。

 

 自分と似たマイナス部分を持っている人とは一緒にいてはいけない、ということです。後ろ向きの人は、あなたが前進しようとしても、笑顔で、あなたに同情するような言葉をかけて、一緒にご飯を食べながら、マイナスの世界にあなたの両足をくくりつけてしまうのです。
 「ああ、忙しかった」と言ったら、「大変ねえ」と言う人に近づかず、「楽しそうね!」と言葉をかけてくれる人を選ぶ、ということです。



 こんなふうに一部分だけ引用すると、「なんかヘンに前向きすぎてウザイ」と思う人もあるかもれしないが、読んでみるとそんな感じはしない。むしろ、この手の自己啓発書にありがちな説教臭さや押しつけがましさが、佐々木さんの本にはないのだ。

 もう一冊の『人生をプラスに広げる5つの視点』は、この間読んで感動した『自分が輝く7つの発想』の続編のようなものを期待して読んだのだが、やや期待外れ。さまざまなメディアに寄せたコラムの寄せ集めなのだ。

 とはいえ、「いいこと言うなあ」というくだりはある。たとえば――。

 

 人を動かしたら、結果はプラスかマイナス。ゼロはない。相手にとってプラスの結果になるようにもっていかなければ、マイナスを与えたことになる。



 まったくそのとおりだと思う。
  
 
人生をプラスに広げる5つの視点 (知恵の森文庫)人生をプラスに広げる5つの視点 (知恵の森文庫)
(2006/05/02)
佐々木 かをり

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前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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