『ブルース・ギター・ウーマン』



 『ブルース・ギター・ウーマン(Blues Guitar Women)』を輸入盤で購入し、ヘビロ中。
 タイトルのとおり、女性ブルース・ギタリストの曲を集めたコンピレーション・アルバムである。

 女性ブルース・ギタリスト(&シンガー)の草分けであるメンフィス・ミニーの曲が、いちばん最後に収められている。
 メンフィス・ミニーの活躍した時代(おもに戦前)には、ギターを弾きながら歌う女性ブルース・シンガーは非常に珍しい存在だったはず。
 それが近年になって急増し、いまや百花繚乱の趣がある。2005年に発売された本作は、「ブルース・ギター・ウーマンの時代」を一望できる好コンピである。

■関連エントリ→ デボラ・コールマン『I Can't Lose』ほか

 CD2枚組に、全24アーティストの29曲が収められている。ディスク1がエレクトリック・ギター中心のコンテンポラリー・ブルース編、ディスク2がアコースティック・ギターのトラディショナル編に分けられているあたりも、気が利いている。

 収録アーティストのうち、私が知っていたのは、スー・フォーリー、アナ・ポポヴィッチ、デボラ・コールマン、キャロリン・ワンダーランド、マリア・マルダー&ボニー・レイット(共演曲)、それにメンフィス・ミニーのみ。
 まあ、私のお気に入りのデボラ・コールマンも日本盤は1枚も出ていないし、地味なジャンルだから、日本にはあまり情報も入ってきにくいのだ。

 私は前にこのシリーズの『ブルース・ハープ・ウーマン』(女性ブルース・ハーピストのコンピ)を買って愛聴していたのだが、出た順番は逆で、『ブルース・ギター・ウーマン』が米国でヒットしたため、第2弾として『ブルース・ハープ・ウーマン』が出たのだという。

 「女性だからうんぬん」とか、「女ならではのブルース・ギター」などという決めつけた言い方は、当のブルース・ギター・ウーマンたちが嫌がるところだろう。だが、最初から最後まで通して聴くと、「やっぱり男のブルース・ギターとは違うなァ」という感想を抱く。
 女性ブルース・ギタリストたちのほうが、総じて内省的・ストイックな印象であり、ギターのタッチも繊細なのだ。

 ところで、このコンピの日本盤はジャケにブルース・ギター・ウーマンたちの顔写真をちりばめているが(↓)、オリジナルのイラストのみのジャケのほうがずっとカッコイイと思う。



ライトニン・ホプキンス『モージョ・ハンド』



 ライトニン・ホプキンスの『モージョ・ハンド』を、71分収録の「コンプリート・セッション」ヴァージョン(Pヴァイン)で入手。ヘビロ中。

 ブルース史上一、二を争うほど有名なジャケットのアルバム。真っ赤な地を突き破る拳が強烈な印象を残す。
 最近私が座右に置いてしょっちゅう参照している小出斉著『ブルースCDガイド・ブック』のカバーにも、このジャケが用いられている。



 ちなみに、同書での本作の評価は、「怖くなるぐらいの名盤」「ライトニンの喉から、指先からブルースが湧き上がってくるようだ」と大絶賛である。

 1960年の作品で、ライトニンが弾いているのは生ギターのみ。にもかかわらず、生ギターが野太くドスが利いていて、まるで空気を切り裂くような音。ヘタなエレクトリック・ギターが裸足で逃げ出す迫力だ。
 ダミ声のヴォーカルと相まって、少しも薄めていないブルースの原液を飲み干すような気分が味わえる。

 タイトルナンバーの「モージョ・ハンド」に代表されるゴキゲンなブギと、ド迫力のスロー・ブルースが半々くらいの構成。そのどちらも素晴らしい。



 スロー・ブルースでは、「俺を裏切った浮気女をショットガンでぶち殺してやるのさ」という物騒な歌詞をおどろおどろしく歌い上げる「Bring Me My Shotgun」など、ねちっこい曲が出色。
 生ギター、ベース、ドラムスのみのシンプルな編成で、すき間の多いサウンドなのに、ピンと張りつめた緊張感がある。


 

ジェイムス・コットン・バンド『ライヴ&オン・ザ・ムーヴ』



 ジェイムス・コットン・バンドの『ライヴ&オン・ザ・ムーヴ』(ブルース・インターアクションズ)を購入し、ヘビロ中。

 「スーパー・ハープ」の異名で知られる、シカゴ・ブルース界きってのブルース・ハープの名手ジェイムス・コットン(今年3月逝去)が、自らのバンドを率いて放った強力ライヴ・アルバム。
 1976年の発売時にはLP2枚組だったアルバムで、全19曲・76分というボリューム。激アツのファンク・ブルースがテンコ盛りだ。

 まず、ジャケットがサイコーである。上半身裸のスリムなネーチャンのジーンズのフロント部分に、無造作に突っ込まれた数本のブルース・ハープ。「このジャケで中身がダサいわけがない」と確信させるカッコよさだ。

 中身も、期待を裏切らぬ素晴らしさ。
 スロー・ブルースは2曲のみで、あとはノリノリのファンク・ブルース大会だ。ダンサブルでファンキーなのに汗臭さがなく、クールでオシャレ。ブルース・ハープの素晴らしさは言うまでもないが、バックを固めるバンドの演奏も絶品だ。

 ブルースについて知らない人が抱きがちな誤解として、「ブルースって、暗くて悲しい曲ばかりなんでしょ?」ということがある。
 ほんの数枚でもブルースの名盤を聴いてみれば、それが誤解であることがわかるはずだ。
 もちろん、暗く哀切なブルースもある。しかし、それよりもはるかにたくさん、楽しいブルース、エロい歌をカッコよく歌うブルース、豪快なブルース、聴くだけで元気が湧いてくる熱いブルースがあるのだ。

 「ブルースは暗く悲しい音楽」という誤解を手っ取り早く解くためには、本作か、B.B.キングの数あるアルバムの中でも屈指の傑作『ライヴ・アット・ザ・リーガル』を聴いてみたらよい。

 『ライヴ・アット・ザ・リーガル』は、「エンタテインメントとしてのブルースの最高峰」といってもよいほど、ゴージャスで楽しいライヴ盤である。

ハウリン・ウルフ『モーニン・イン・ザ・ムーンライト』ほか



 ハウリン・ウルフの『モーニン・イン・ザ・ムーンライト』『ハウリン・ウルフ』『ザ・ロンドン・ハウリン・ウルフ・セッションズ』をヘビロ中。

 私はブルースについては初心者だから、アルバム・ガイドブックのたぐいを読むなどして、少しずつ過去の名作を聴いている段階だ。
 そのなかで最近気に入っているのが、ハウリン・ウルフ。マディ・ウォーターズとともに、1960年代のブリティッシュ・ブルース・ロックの面々に強い影響を与えた一人である。

 ハウリン・ウルフのアルバムは、総じてジャケットがオシャレだ。
 上に貼った『モーニン・イン・ザ・ムーンライト』(1959年)や、「ロッキンチェア・アルバム」の別名で知られる『ハウリン・ウルフ』(1962年/↓)などは、ブルースというよりジャズの名盤のような上品な雰囲気。



 『ザ・ロンドン・ハウリン・ウルフ・セッションズ』(↓)の洗練されたイラストのジャケも、じつに魅力的。



 中身がドスの利いたダミ声のブルースだとは、とても思えない(笑)。

 『モーニン・イン・ザ・ムーンライト』は、「2イン1」という表記のある盤を買うと、『ハウリン・ウルフ』の収録曲も全曲入っている(私もそれで聴いた)。
 この2作は極めつけの名盤で、「ザ・レッド・ルースター」や「スプーンフル」、「バック・ドア・マン」など、ストーンズやクリーム、ドアーズなどがカバーした名曲の数々が収められている。

 ただ、ロック経由で聴いた私のようなリスナーにとっていちばん聴きやすいのは、『ザ・ロンドン・ハウリン・ウルフ・セッションズ』のほうだ。

 これは1971年に、エリック・クラプトン、スティーヴ・ウィンウッド、ビル・ワイマン、チャーリー・ワッツら、ブリティッシュ・ロックのスターたちがロンドンにハウリン・ウルフを迎え、「胸を借りる」形でセッションしたアルバム。
 ブルースというよりブルース・ロックのアルバムとして楽しめる。

ポール・バターフィールド・ブルース・バンド『Original Lost Elektra Sessions』



 今日は、女優・タレントの久本雅美さんを取材。劇団「ワハハ本舗」の事務所にて。久本さんとは初対面である。

 「ワハハ本舗」は、人を傷つける笑い・差別の笑いではなく、人を元気にする笑い・生きる力になる笑いをずっと追求してきた、というお話に胸打たれた。


 帰宅したら、ポール・バターフィールド・ブルース・バンドの『Original Lost Elektra Sessions』が届いていたので、聴き倒す。
 彼らのファーストアルバム(1965年)の前年に録音された、最初期の発掘音源を集めたもの(1995年発表)。

 「ホワイト・ブルースの最高峰」とも言われるポール・バターフィールド・ブルース・バンドは、私も大好きである。
 ただ、マイク・ブルームフィールド、エルヴィン・ビショップと、所属したギタリストが素晴らしいせいか、ギターにばかり注目が集まりすぎなきらいがある。
 
 私は、ポール・バターフィールドのブルース・ハープ(ハーモニカ)やヴォーカルも素晴らしいと思うし、もっと評価されてしかるべきだと考える。
 この『Original Lost Elektra Sessions』は、ポールのブルース・ハープの素晴らしさが、ギター以上に際立っているアルバムだ。
 ブルース・ハープの、一つの究極がここにはある。


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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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