坪田聡『朝の「二度寝」でストレスが消える!』


朝の「二度寝」でストレスが消える!朝の「二度寝」でストレスが消える!
(2011/10/05)
坪田聡

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 坪田聡著『朝の「二度寝」でストレスが消える!――コルチゾールホルモンが脳を強くする』(かんき出版/1260円)読了。

 朝の二度寝も昼寝も大好きな私としては、我が意を得たりという思いになる健康本である。
 生活不安定でなんの保障もないフリーランス仕事ではあるが、通勤ストレスがない点と並んで、朝の二度寝や昼寝が自由にできる点はフリーの特権、醍醐味といってよい(笑)。
 私はここ20年、目覚まし時計も使ったことがなく、「寝たいときに寝て、起きたいときに起きる」フリーの特権を満喫している(もちろん、逆に徹夜することだってあるわけだが)。

 従来の一般向け「睡眠本」といえば、多くは快眠法もしくは短眠法の本であった。対して、本書は睡眠自体をもっと愛し、楽しもうという「愛眠」を提唱するものである(快眠のコツにも触れてはいるが)。
 そうしたコンセプトから、朝の二度寝こそ睡眠の醍醐味だ、もっと二度寝を楽しもう、という主張につながっていく。

 著者は脳科学の研究成果をふまえ、二度寝の快楽の源になっているのがコルチゾール・ホルモンである、とする。
 「抗ストレスホルモン」とも呼ばれるコルチゾールは、睡眠から目覚める1~2時間前になると大量に分泌される(=起床時コルチゾール反応)という。つまり、二度寝はコルチゾールの分泌を高め、いわば“コルチゾールのシャワーを脳に浴びせる”ような行為なのだとか。それが、『朝の「二度寝」でストレスが消える!』というタイトルの意味なのである。

 接吻が終わる時、それは不本意な目ざめに似て、まだ眠いのに、瞼の薄い皮を透かして来る瑪瑙のような朝日に抗しかねている、あの物憂い名残惜しさに充ちていた。あのときこそ眠りの美味が絶頂に達するのだ。



 ……と、これは三島由紀夫の『春の雪』の名フレーズだが、まさに「眠りの美味が絶頂に達する」のが二度寝のまどろみのときなのである。そして、その快楽、至福感の源こそ、大量に分泌されるコルチゾールであったのだ。

 私はかねてより、人間の三大欲求のうち、性欲と食欲が飽くなき追求をされてきたのに、睡眠欲の追求だけがなおざりにされてきたことを不思議に思っていた。食欲の追求を洗練させたグルメがあるように、「睡眠グルメ」ともいうべきものがあってしかるべきなのではないか、と考えていた。
 だからこそ、著者の提唱する「愛眠」に、私は深く賛同するものである。朝の二度寝や昼寝が「好ましくないこと」「大人として恥ずかしいこと」みたいに貶められる風潮はおかしい。

 まあ、本書は軽いタッチの健康本であって、拳を振り上げて社会に物申すような本ではないのだけれど……。 

 後半には、睡眠学や脳科学の成果をふまえ、夢研究の最前線を紹介するパートもある。そう、夢を見ることを楽しむのもまた、「睡眠グルメ」の一翼なのである。

フォーブズ・R・ブレア『願いがかなうクイック自己催眠』


願いがかなうクイック自己催眠願いがかなうクイック自己催眠
(2004/11)
フォーブズ・R. ブレア

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 フォーブズ・R・ブレア著、大田直子訳『願いがかなうクイック自己催眠』(ベストセラーズ/1365円)読了。

 なぜこんな本を読んだかというと、アマゾンの「見たい夢を見る方法 (明晰夢の見方と活用法)」という「リストマニア」(→こちら) に、「イチオシ」として挙げられていたから。

 このリストマニアを作成したハンドルネーム「夜帆」って、科学解説家の故・志水一夫氏のことですね。だからというわけではないが、最近興味がある夢研究の文献を読み進めるうえで、参考にしているのだ。

 本書は、プロの催眠療法士である著者が、独自に開発した「クイック自己催眠」によって、さまざまな願いごとをかなえ、自己変革する方法を解説したもの。で、その中に、「夢をはっきりと思い出す」「今夜、明晰夢を見る」という2つの「暗示文」があるのだ。

 「クイック自己催眠(Instant Self-Hypnosis)」とは、面倒な練習やプロセス一切抜きで、著者が作成した「暗示文」を心を込めて音読するだけで、潜在意識に訴えかける「自己催眠」ができるというもの。自己催眠状態での暗示文音読が意識を変え、行動を変えることで願いがかなうのだという。

 うさんくさい? うん、思いっきりうさんくさいですね。でも、本書の解説部分を私が読んだかぎり、意外にまっとうな内容で、本気で役に立ちそうである。

 「催眠」というと、ふつうは眠りに近い状態を思い浮かべる。が、著者によればそれは誤解で、「開眼催眠」――目が覚めた状態のまま暗示がかかりやすくするやり方も、じつは催眠のプロの間では一般的なのだという。

 本書は、全体の3分の1ほどが「クイック自己催眠」についての解説。もう3分の1が、さまざまな用途別に用意された35種類の暗示文。残りが、自分のためのオリジナル暗示文の作り方となっている。

 「今夜、明晰夢を見る」という暗示文をぜひ試してみたいのだが、暗示文を音読しなければいけない、という点が非常にハードルが高い。家族に奇異に思われてしまう(笑)。さりとて、黙読では効果が半減以下になるらしい。

ゲイル・デラニー『なりたい自分を探す夢の見かた入門』


なりたい自分を探す夢の見かた入門―夢は答えを知っているなりたい自分を探す夢の見かた入門―夢は答えを知っている
(2004/02)
ゲイル デラニー

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 ゲイル・デラニー著、勝俣孝美訳『なりたい自分を探す夢の見かた入門――夢は答えを知っている』(PHP研究所/1575円)読了。

 米国で「デラニー・アンド・フラワーズ夢研究所」なるものを運営している研究者による、夢を自己探求に用いるための入門書。略歴によれば著者は「Ph.D.」とのことだが、なんの博士なのか判然としない。たぶん心理学だろうけど。

 少し前に読んだパトリシア・ガーフィールドの『夢学』はすこぶる魅力的な本だったが、類書である本書はいま一つパッとしない。面白い部分もあるにはあるのだが、総じて、どこまでが学術研究でどこからが私見なのかの線引きがあいまいで、著者の言うことを鵜呑みにできない危うさが感じられる。

 また、「眠れる予言者」エドガー・ケイシーの言葉について、一度ならず肯定的に言及しているくだりなどもあって、「なんだ、ただのオカルトかよ」とガッカリする。本書にかぎらず、夢研究にはオカルトと陸つづきの側面があるので、注意が必要だ。

 そして、本書のいちばんの難点は、著者の研究所のクライアントたちが見た夢について、必要以上に詳細に解説した箇所が多いこと。事例として挙げるなら要点だけでよいのに、ダラダラと細かく紹介してあり、読んでいてうんざりする。他人の夢の中身を延々と聞かされることほど退屈なことはないのである。

 ……と、いろいろケチをつけてしまったが、本書には美点もある。とくに、「夢の孵化」についての詳細な解説は、私にとっては有益だった。

 「夢の孵化」とは、自分が抱えたさまざまな問題(葛藤)について、その答えを夢に教えてもらうことを指す。自我意識でいくら考えても出ない答えを、夢という無意識の手にゆだねるもので、一種の心理療法である。
 『夢学』にも出てきたから言葉としては知っていたが、「夢の孵化」については本書のほうがくわしい。

 著者は、次のように言う。

 夢について勉強する、つまり意識的に夢のプロデュースに関わる方法を学ぶと、しだいに夢の意味がはっきりしてくる。



 聖人、神秘論者、芸術家がひらめきや創作的な着想を得るのに夢を使用することは昔からよく知られているが、学者や科学者が研究課題を夢の中で解決し、それが重要な発見につながっていることはあまり知られていない。夢から得たすばらしい着想や発見の例は、芸術、科学技術、自然科学、文学の歴史の中に数多く存在する。



 夢を学習する決心をするということは、自分という存在の最も豊かな資源を探す、すばらしいツアーに出発するということだ。



 そして、「夢の孵化」を通じて夢の力を利用するノウハウを、こと細かに解説していくのである。
 
 迷っていること、答えを探していることについて夢に尋ねるというのは、私もぜひトライしてみたい。じつに面白そうではないか。

大泉実成『夢を操る』


夢を操る―マレー・セノイ族に会いに行く (講談社文庫)夢を操る―マレー・セノイ族に会いに行く (講談社文庫)
(1996/11)
大泉 実成

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 大泉実成著『夢を操る――マレー・セノイ族に会いに行く』(講談社文庫/612円)読了。

 ノンフィクション作家の著者が、「夢をコントロールする」と言われてきたマレーシアのセノイ族の村を探訪し、「ほんとうに彼らは夢コントロールの文化をいまも持っているのか?」を確かめた本。

 本書の元になった『SPA!』での連載を私はリアルタイムで読んでいたが、当時は「つまらない連載だなあ」と思っていた。が、私自身が夢コントロールに興味を抱いているいま読んでみたら、じつに面白かった。

 セノイ族の夢コントロールの虚実を探るのがテーマのはずなのに、本書の記述はしばしば脱線する。セノイの変わった料理を食べてみたらうまかったとか、村の景色がどうとか、テーマと関係ないことを詳述しすぎ。むしろ紀行文のほうがメインで、その合間に夢コントロールについても述べられているという感じなのだ。それに、文章がおちゃらけすぎ。

 まあ、あまり無味乾燥な論文調で書かれるよりは、本書のようなくだけた調子のほうが読みやすくはある。
 それに、脱線が多いとはいえ、著者は要所はきっちり締めている。セノイ族の生活にいまも夢コントロールがしっかり根付いているという証拠をちゃんとつかんでレポートしているのだ。このへんはさすが。
 本書の第3章(終章)「マレー獏との対話」は全体のまとめ・総論になっているので、脱線部分を飛ばして結論を知りたいという向きはここだけ読んでみるとよい。その中で、著者は次のように書いている。

 セノイが僕にしてくれた「夢指南」は、「夢のサイン」の話を除けば、次の二つに集約できると思う。
 ①夢の中では意識して積極的であるようにしなさい(夢というのは、ちょうど学校の教室のようなものだから、積極的に学ぶようにしなさい)。
 ②夢の中で出会った相手とは、できるだけ友だちになりなさい。
 このふたつを守れば、夢の中の相手は、有用な情報やパワーを与えてくれる、というのが彼らの考え方だった。



 セノイ族の「夢コントロール」を欧米に初めて紹介したのは、アメリカの文化人類学者キルトン・スチュアートである。夢の研究に取り組んでいる心理学者パトリシア・ガーフィールド(私が先日読んだ『夢学』の著者)も、自らもセノイ族の村でフィールドワークを行っているが、基本的にはスチュアートの研究に依拠している。
 大泉も、スチュアートの論文やガーフィールドの著作を読んでセノイ族に興味を抱いたのである。

 ところが、大泉がセノイの村への旅から帰ったころ、「セノイの夢理論はでっちあげだ」と主張する本が邦訳刊行される。それがウィリアム・ドムホフの『夢の秘法』で、大泉も第3章で同書に言及している。それによれば、「ドムホフ自身は実際にセノイと会ったこともなく、反スチュアート派の論文をもとに『でっち上げ』と述べているだけ」だとのこと。どう見ても、実際にセノイ族の村で(短期間にせよ)暮らした大泉の主張のほうに分がありそうだ。
 本書は、夢研究の分野において、学術的にも価値あるレポートだと思う。

パトリシア・ガーフィールド『夢学(ユメオロジー)』


夢学(ユメオロジー)―創造的な夢の見方と活用法夢学(ユメオロジー)―創造的な夢の見方と活用法
(1993/02)
パトリシア・L. ガーフィールド

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 パトリシア・ガーフィールド著、花野秀男訳『夢学(ユメオロジー)――創造的な夢の見方と活用法』(白揚社)読了。

 最近、「自分の夢をコントロールする方法」に関心がある。
 脳科学が教えるところによれば、夢は記憶の整理作業なのだそうだが、同時に「心の整理作業」でもあるのではないか。つまり、昼間の顕在意識の中では整理のつかない心のもやもやを、夢を見ることで解消できる場合があると思うのだ。

 こんな話がよくある。
 何か謝らなければいけないことがある相手が、謝らないうちに亡くなってしまった。そのことで深い後悔を感じていたが、あるとき、夢の中でその人に謝ることができ、相手はにっこり笑って赦してくれた。その夢を見たことによって、ずっと抱いていた後悔の念が消えた。

 もっと下世話な例でいうと、嫌いな上司に対するイライラをずっと抱えていたが、その上司を思いっきりタコ殴りにする夢を見たらすごくスッキリした、とか(笑)。

 そのように、夢というものは、ときに深い次元での癒し・ストレス解消につながる。だとすれば、そうした夢の効用を、もっと意識的に活用できないものかと思うのだ。
 本書の著者など一群の夢の研究者たちは、「夢をコントロールする方法はある」と主張している。ただし、そのためには訓練が必要なのだという。

 本書は副題のとおり、「創造的な夢の見方と活用法」を網羅的に紹介した概説書。夢を創作に活かした芸術家たちのエピソード、アメリカインディアンやマレーシアのセノイ族の夢コントロール法の紹介など、盛りだくさんな内容で、実用書であると同時に「夢の博物誌」としても愉しめる。
 「これは夢だ」と自覚しながら夢を見る、いわゆる「明晰夢」(本書の表記は「自覚ある鮮明な夢」)を見るコツについても、一章が割かれている。

 諸星大二郎の傑作短編「夢みる機械」など、見たい夢を自在に見ることができる世界をユートピアとして描いた作品は数多いが、トレーニングによってそれが実現可能となれば、挑戦する価値は大いにあるというものだ。
 ただしそれは、「見たい夢を見られたら、毎晩眠るのが楽しくて仕方ないよなあ」というだけの話ではない(笑)。本書によれば、夢をコントロールし、上手に活用することで、より創意豊かで洞察力の鋭い人間に成長できるというのだ。

 あなたのみる夢はどれもあなたの子供なのだ。どの夢も気長に見守ってやるとよい。そうすれば、夢は、あなた自身へ並外れた洞察力をもたらしてくれることだろう。



 この手の話は一歩間違えばオカルトだが(じっさい、明晰夢と幽体離脱を一緒くたに扱った書物もある)、そうならない範囲で、今後少し探求してみたい。そのとっかかりとしてはわりとよい本だった。


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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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