『アンダーワールド:ブラッド・ウォーズ』



 『アンダーワールド:ブラッド・ウォーズ』を映像配信で観た。

 シリーズ第5作に当たる最新作。
 私は2003年の第1作がとくに好きである。その後の続編も、それぞれ水準以上の娯楽作ではあるが、1作目には遠く及ばない。

 本作もしかり。
 全体の雰囲気は1作目に近い感じで、その点は好ましいのだが、どうもストーリーが御都合主義でいただけない。とくに、一度死んだはずのヒロイン、セリーンがわけのわからん復活をするクライマックスはシラケた。

 とはいえ、このシリーズは物語に緻密な整合性を求めるべき作品ではなく、セリーンを演ずるケイト・ベッキンセイルのカッコよさを堪能するための映画である。その点ではかなり満足できた(逆に、ケイトがほとんど登場しない『アンダーワールド:ビギンズ』は、私にとって論外)。

 もっと身もフタもない言い方をすると、美しき女戦士・セリーンが、襲い来る敵をバリエーション豊かな方法でぶち殺しまくる痛快さこそ、このシリーズの魅力の核なのである。


↑セリーンが闘うシーンのみを集めたコンピレーション。

 ケイト・ベッキンセイルももう40代なので、1作目のころに比べたら老けたが、それでも十分にカッコイイし、美しい。

『スター・トレック BEYOND』



 『スター・トレック BEYOND』を映像配信で観た。



 『スター・トレック』シリーズについてほとんど何も知らない私だが、それでもけっこう楽しめた。

 アクションと人間ドラマ、シリアスとユーモアのバランスがよく、緩急のメリハリが利いていて、最初から最後まで飽きさせない。

 宇宙船などのメカの造型はキッチュでカッコいいし、主舞台の一つ「ヨークタウン」(巨大な宇宙ステーションがそのまま未来都市になっている)のランドスケープデザインは美しく、視覚的にも退屈しない。



 エンタメとしての質が高い作品だと思う。

『ハドソン川の奇跡』



 クリント・イーストウッド監督の『ハドソン川の奇跡』を、映像配信で観た。
 2009年に起きた「USエアウェイズ1549便不時着水事故」を、乗客155人の命を救ったサレンバーガー機長(彼の愛称「サリー」が映画の原題)を主人公に描いている。

 ヘタに大作にせず、96分の小品にまとめているところがよい。贅肉を削ぎ落とした、無駄のない映画だ。

 「映画も作戦も100分で終わるべきだ。それ以上はケツが痛い」
 ――矢作俊彦・司城志朗の名作『ブロードウェイの戦車』の主人公(傭兵隊長)・ジョウの名セリフである。
 すぐに2時間半超の大作にしたがる監督は、イーストウッドのサービス精神(「観客にいらざる負担をかけない」という意味のサービス精神)を見習うべきだ。

 絶体絶命の危機に際して冷静沈着に行動し、危機のさなかでもジョークを飛ばしたりすること――それはハリウッド映画がくり返し描いてきた、“アメリカ的男らしさ”の核だ。本作はまさに、そのような男らしさを描いた映画である。

 イーストウッドとしては、機長をストレートに「英雄」として描きたかったところだろう。また、これが1950年代の映画なら、機長は100%の英雄として描かれたに違いない。
 しかし、いまどきのハリウッドで実話を映画化する場合、それほど単純なつくりにはできないのだろう。

 映画は、「不時着がほんとうに必要だったのか? 他の空港への着陸が可能だったのではないか?」と疑う「国家運輸安全委員会」の官僚たちと、機長らとの“戦い”をストーリーの軸にしている。
 事故調査の過程で、ネチネチと意地悪く(観客にはそう映る)、「機長の判断ミス」という結論に持っていこうとする官僚たち。しかし、最後には彼らも機長の判断が正しかったと認める。
 ……そのような“面倒な手続き”を経ないと、機長を英雄として描くことはできなかったのだろう。

 アメリカという国の嫌な部分を象徴する官僚たちがスパイスの役割を果たすことで、結果的に見事な「アメリカ万歳」映画になっている。ひとひねりした愛国映画というべきか。

 不時着に至るプロセスの緊迫感、上空から見るニューヨークの街並みの美しさなど、見どころも多い。
 シンプルな実話を題材に、きっちり楽しめる映画にするあたり、さすがイーストウッドだ。

『スーサイド・スクワッド』



 昨日は所用で、目黒区の知人に会いに――。


 『スーサイド・スクワッド』を映像配信で観た。

 アメコミ経由の映画として、よく似た位置づけ(ヒーローが「正義の味方」じゃない点とか)の『デッドプール』は大いに楽しめた私だが、本作はまったく面白くなかった。

 刺激的でお金のかかった映像がてんこ盛りなのだが、それがまるで「他人がやっているゲームの画面を見ている」ようだった。まったく感情移入できなかったのである。

 ワクワク感があったのは、序盤のキャラ紹介だけ。
 終盤のラスボス的魔女とスーサイド・スクワッド(決死部隊)の対決あたりではもう完全にシラケきり、「早く終わらねーかな」と思いつつ観ていた。

 続編をほのめかす終わり方だが、私は続編はもういいや。

『クライム・ヒート』


 
 『クライム・ヒート』を映像配信で観た。
 クリント・イーストウッドの傑作『ミスティック・リバー』の原作者であるデニス・ルヘインの小説が原作で、しかもルヘインが脚本も書いていると聞いて、観てみた。



 これが意外な拾いもの。地味な映画ながら、すごくよかった。日本ではビデオスルーで終わってしまった作品だが、映画館で観てみたい。

 『クライム・ヒート』という邦題はひどい(原題は“THE DROP”)。これでは、ドンパチ中心の「脳みそ筋肉」系犯罪アクションかと思ってしまう。
 犯罪映画には違いないのだが、むしろフィルムノワール寄り。『ミスティック・リバー』と同系列の、静謐な詩情に満ちたクライム・サスペンスなのである。

 フィルムノワールといえば男同士の友情が重要な要素なわけだが、本作はその要素は希薄。かわりにミステリ的要素が強く、クライマックスにはどんでん返しが用意されている。

 そのどんでん返しに至るまでに、悲劇の予感がじわじわと高まっていく。心地よい緊迫感に満ちた映画。
 銃を撃つ場面はクライマックスまでないのだが、それでも序盤からずっと、「いまにも撃たれるんじゃないか」という緊迫感がつづく。

 『マッドマックス 怒りのデスロード』のトム・ハーディが、寡黙なバーテンダーの役で主演している。これがじつによい。子犬と戯れる場面など、女性ファンならキュン死だろう。

 ピットブルのカワイイ子犬がストーリー上重要な役割を果たし、しかも全編出ずっぱりなので、犬好きにはたまらない映画でもある。


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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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