テイスト『ベスト・オブ・テイスト』



 昨日は昼間に企業取材、夜は小規模な忘年会。
 で、今日も午後にまた取材。さすがにこのあとは取材仕事は入らないだろうから、これが今年の取材納めだ(でも、仕事納めではない)。


 取材と忘年会の合間に少し時間が空いたので、新宿のディスクユニオン各店舗を回って中古CD漁りをした。

 で、けっきょく、テイストの『ベスト・オブ・テイスト』、ロベン・フォードのライヴ盤『Discovering the Blues』、ポール・バターフィールズ・ベター・デイズのファースト『ベター・デイズ』を購入。

 ロリー・ギャラガーがソロになる前にやっていた短命なバンド、テイスト。先日ライヴ盤『ワイト島のテイスト』を買ってみたらすごくよかったので、ベスト盤を買ってみた。

 これもよい。いい曲が目白押し。

 ちなみに、ファースト・アルバム(1969年)収録曲「いつもの話(Same Old Story)」は、リフやギターソロの入れ方がダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」(1975年)とそっくり。
 時系列からいって、宇崎竜童がパクったのである。 



ベラキス『BELAKISS』



 ベラキスのファーストアルバム『BELAKISS』(アリオラジャパン)を聴いた。

 このアルバムに入っている曲「ONLY YOU」が、先日観た『11・25 自決の日  三島由紀夫と若者たち』のエンディングテーマとして使われていて、大変気に入ったので……。



 三島を主人公にした映画のエンディングに、「いかにも」な雅楽などではなく、英国産ポップ全開のこの曲をもってくるあたり、なかなかのセンスだと思う。

 ベラキスはイギリスのバンドなのだが、日本の「オフィスオーガスタ」の社長が惚れ込み、自らプロデュースして日本先行メジャーデビューさせたらしい。
 ちなみに、メンバーの紅一点、ターシャ・スターキーはリンゴ・スターの孫娘だそうだ(担当楽器はドラムスではなくベース)。

 このデビューアルバムが出たのは4年前だが、その間、ほとんど話題にならなかった気がするし、本作はAmazonで定価の6割引きで投げ売られている。ま、要は売れなかったのだろう。

 アルバム全体を聴いてみると、「ONLY YOU」をしのぐ曲は一つもないし、抜きん出た点がなくて、いまいち華がない。
 ビートルズ~オアシス直系のメロディアスなブリットポップで、けっして悪くはないのだが……。

バッド・カンパニー『バーニング・スカイ』



 バッド・カンパニーの『バーニング・スカイ』を、中古CDで入手。
 個人的に思い入れの強い、1977年のバドカン第4作である。

 4年前に当ブログでバッド・カンパニーの『アンソロジー』を取り上げたとき、私は本作について次のように書いた。

 私がバドカンのアルバムでいちばん好きなのは、一般には評価の低い4枚目『バーニング・スカイ』である。いちばん最初に聴いたバドカンのアルバムであり、ロックを聴き始めたころに愛聴したアルバムだからだ。

 たしか、私が人生で3番目くらいに買った洋楽ロックのLPが、『バーニング・スカイ』だった。
 ロック初心者の中学生が聴くには渋すぎるこのアルバムを、なぜ買ったのかは思い出せない。たぶん、ロック雑誌の絶賛レビューでも読んだのだろう。

 お小遣いで1ヶ月に1枚LPを買うのがやっとだった中学生時代に買ったアルバムを、私は一つ残らず偏愛している。「元をとらなきゃ」という思いから、「好きになるまで何度でも聴きつづけた」からである。

 そんなわけで、他人はどうあれ私にとっては名盤である『バーニング・スカイ』。だが、この『アンソロジー』には同作からたった3曲しか収録されていないのであった。
 ううむ、『バーニング・スカイ』を改めて購入しようかなあ。



 というわけで、やっと購入しました。

 しかし、アマゾンの本作のページに載っている「商品の説明」欄のレビュー(雑誌『CDジャーナル』の「試聴記コメント」を転載したもの)はひどい。いわく――。

 欧米の多くのヴォーカリストに影響を与えたポール・ロジャースが、フリーを解散後に結成したバンド。しかし、口ウルサイ連中(と言って自分の責任を逃れる)は、バッド・カンパニーの聴くに値するのはデビュー盤だけと言っている。従って76年の本作はスカ。



 この匿名レビュアーが誰だか知らないが、販促が目的であるアマゾンのページに、よくこんなレビューを載せられるものだ(しかも発表年を誤記しているし)。このレビューを読んで、「ああ、スカなのか。じゃあ買うのやめよう」と思う人だっているだろうに。

 本作をこよなく愛する私が、自信をもって断言しよう。「スカ」なんてとんでもない。これはバドカンの最高傑作といってもよいほど素晴らしいアルバムだ、と……。

 たしかに、ストレートなハードロックは収録曲の半分ほどであり、バドカンらしからぬポップな曲も多いので、ハードロック・ファンにはやや物足りないアルバムかもしれない。

 しかし、「ほとんどスティーヴィー・ワンダー」という感じのソウルフルなポップ・チューン「Passing Time」とか、60年代ポップスのパロディのようで楽しい「Everything I Need」(「燃えるヤング・ラヴ」というスゴイ邦題がついていた)とか、思いっきりブルージーで渋い「Master Of Ceremony」とか、ハードロック以外の曲もみなクオリティが高く、まさに「捨て曲なし」の充実ぶりを見せたアルバムといえる。

 それに、アルバムの半分を占める王道ハードロック・ナンバーも、「Burnin' Sky」「Leaving You」「Too Bad」など、どれもバツグンのカッコよさなのだ。


↑ずっしりと重くうねる、いぶし銀のハードロック・ナンバー「Too Bad」。

 ポール・ロジャースのヴォーカリストとしてのピークも、じつはこのアルバムなのではないか。硬軟どんなタイプの曲も歌いこなして、見事というほかない。

 30数年ぶりに全編を聴いてみて、傑作アルバムであるとの認識を新たにした。

 ポール・ロジャースが日本の法被(はっぴ)を着てハチマキをしているお笑いジャケでも知られるアルバム(ポールは当時の奥さんが日本人で、親日派として知られる)だが、中身はジャケットからは想像もつかない渋さだ。

スティール・パルス『Sound System:Island Anthology』


Sound System: Island AnthologySound System: Island Anthology
(1997/03/11)
Steel Pulse

商品詳細を見る


 スティール・パルスの『Sound System:Island Anthology』を輸入盤で購入。
 英国の硬派なレゲエ・バンドが、1978年から80年にかけて、英アイランド・レコードに残した3枚のアルバム(ファーストからサードまで)を2枚組に丸ごと詰め込んだアンソロジーだ。

 これも例によって、昔アナログ・レコードで聴き倒したアルバムの買い直し。
 レゲエはくわしくないし、あまり聴き込んでもいない私だが、スティール・パルスは例外的によく聴いたバンド(あと、もちろんボブ・マーリーも好きだけれど)。

 渋谷陽一がラジオ番組でやたらとプッシュしたせいもあってか、スティール・パルスは日本の英国ロック好きにとっていちばん馴染み深いレゲエ・バンドだったかもしれない。社会的メッセージをストレートに盛り込んだ彼らのレゲエそれ自体が「ロック的」であったし、当時のレゲエには珍しくシンセを多用したクールなサウンドも、ロック・ファンに受け入れられやすいものだった。

 一般にはファーストの『平等の権利(Handsworth Revolution)』の評価が高いようだが、私はセカンドの『殉教者に捧ぐ(Tribute to the Martyrs)』がいちばん好きだった。

 南アの反アパルトヘイト運動に深くかかわって官憲に虐殺されたスティーヴ・ビコ(ピーター・ガブリエルの曲「ビコ」の主人公でもあり、その死は映画『遠い夜明け』にも描かれた)の死を悼んだ強烈なプロテスト・ソング「Biko's Kindred Lament」など、反レイシズム、反ファシズムを謳い上げた曲が並ぶ。それらの曲は力強いのみならず、美しいメロディと緻密なアレンジも兼ね備えていて、素晴らしい。





 スティール・パルスはその後も息の長い活動をつづけているが、私はここに収められた初期の3枚(とくに最初の2枚)がいちばん好きだ。聴いていると静かに力が湧いてくる絶品である。

『アート・オブ・マッカートニー~ポールへ捧ぐ』


アート・オブ・マッカートニー~ポールへ捧ぐアート・オブ・マッカートニー~ポールへ捧ぐ
(2014/12/10)
オムニバス、ジェフ・リン 他

商品詳細を見る


 『アート・オブ・マッカートニー~ポールへ捧ぐ』(ユニバーサルミュージック)を聴いた。

 ボブ・ディラン、ビリー・ジョエルなど、超豪華アーティストを集めたポール・マッカートニーのトリビュート・アルバム。2枚組で、総勢32組が計35曲(日本盤ボーナストラックの井上陽水「アイ・ウィル」を含め)のポール作品をカバーしている。
 選曲は、ビートルズ・ナンバーとソロ~ウイングス時代の曲が、おおむね半々の割合。

 ポール作品に絞った本格的トリビュート・アルバムは初めてだが、ビートルズのカバー集はこれまでにも山ほどあるわけで、それらと比べると物足りない。
 アーティストの顔ぶれはこれ以上ないほど豪華だが、内容がいかにもやっつけ仕事なのである。ほぼすべての曲が原曲に忠実すぎるアレンジで、「おお、あの曲をこんな斬新な切り口で……!」という驚きが微塵もない。選曲も、「イエスタデイ」「レット・イット・ビー」「ヘイ・ジュード」など、ド定番ばかり多すぎてヒネリが足りない。

 アマゾンのカスタマーレビューに「豪華なカラオケパーティを聴かされている気分になりました」という一言があって、「言えてる!」と思った。

 アリス・クーパーが「エリノア・リグビー」をカバーしているので、「お、原曲をグチャグチャに換骨奪胎したハードロック・バージョンかな」と期待したら、あまりに原曲そのまんまだったのでガッカリ。あのアリス・クーパーが演る必然性がまったく感じられない。

 あと、ビリー・ジョエルのヴォーカルの劣化具合に、ちょっと無残な印象を受けた。ただの耳障りなガナリ声になってしまっている。ビリーが歌う「恋することのもどかしさ」(メイビー・アイム・アメイズド)と「007/死ぬのは奴らだ」はそれぞれディスク1、2のオープニング曲になっていて、本作の目玉アーティストなのに。

 ……と、ケチをつけてしまったが、それでも聴いているとけっこう楽しめる。曲自体がどれも素晴らしいからだ。

 とくに、スティーヴ・ミラーによる「ジュニアズ・ファーム」、ハートによる「ワインカラーの少女」、キッスによる「ヴィーナス・アンド・マース~ロック・ショー」は、なかなかの仕上がり。



 ハートもキッスも演奏は提供しておらず(演奏はポールのバックバンドの面々)、それこそ「カラオケパーティ」でしかないのだけれど……。

 ちなみに、ビートルズのカバー集なら、私は映画『アクロス・ザ・ユニバース』のサントラや『アイ・アム・サム』のサントラが好きだ。

■関連エントリ→ 『アクロス・ザ・ユニバース』(サントラ)レビュー


Guide 

   →全記事インデックス

Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

Counter 

メールフォーム

★私にご用の方はここからメールを下さい。

お名前
メールアドレス
件名
本文

最近の記事

マイ「神曲」ベスト100

カテゴリー

里親募集中

タイトルの由来

●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

Archives

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
29位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
22位
アクセスランキングを見る>>