『重版出来!』最終回


 
 昨夜、『重版出来!』の最終回を観た。
 テレビドラマを全話リアルタイムで観た(一部「見逃し配信」でカバーしたが、とにかく全10話を放映日のうちに観た)のは、私にとっては『結婚できない男』以来だから、じつに10年ぶりのことだ。



 最後まで、素晴らしいドラマであったと思う。
 原作に忠実ながらも随所に工夫がある脚本といい、俳優陣の熱のこもった演技といい、細部のリアリティへの周到なこだわり(本物の売れっ子マンガ家たちに描き下ろさせたマンガ原稿など)といい、スタッフサイドの熱意が隅々に感じられた。

 視聴率が低いと言われていたが、コミック誌の編集部が舞台であること自体、およそ一般的な題材とは言えないわけだし、そのわりには大健闘だったのではないか。

 そもそも、視聴率1%が約40万人の視聴に相当すると言われているから、7~8%の視聴率というのは300万人程度が観ていることになるわけで、じつは大変な数なのである。

 町山智浩さんがラジオの「たまむすび」で『重版出来!』を絶賛しており、そこまでホメるとは思わなかったのでちょっと驚いた。

 まあ、元編集者であり、『重版出来!』の重要な要素となっていた出版不況の進行を肌で知る町山さんにしてみれば、身につまされることこのうえないドラマだったのであろう。

 その点は私にとっても同じだ。
 雑誌編集の世界をよく知り、マンガ好きな私としては、これほど身につまされるドラマはほかになかった(雑誌編集者を主人公にしたドラマといえば、沢尻エリカ主演の『ファーストクラス』というのがあったが、これは荒唐無稽で観るに堪えなかった)。

■関連エントリ→ 木村俊介『漫画編集者』(『重版出来!』の担当編集者も登場)

「重版出来!」



 今日は、帝京大学ラグビー部監督の岩出雅之さんを取材。ラグビー部のクラブハウスにて。


 『重版出来(じゅうはんしゅったい)!』の第1話を、「TBSオンデマンド」で観た。放映後1週間無料視聴できるそうだ。

 大変面白い。脚本もよいし、キャストも豪華だし、細部まで凝った演出がなされている。
 松田奈緒子の原作より面白いかも。原作ではわりとサラッとしたエピソードだった「巨匠マンガ家・三蔵山龍の引退宣言騒動」を、よくあそこまで引き伸ばして盛り上げるものだと感心した。

 主演の黒木華が超カワイイ。薄幸顔で(このドラマでは元気いっぱいの役だが)、まったく肉感的でなく、透明感のある植物系地味顔美人。私の好み、どストライクである。

 黒木華を見ているだけで幸せな気分になるドラマ。毎回観ることに決めた。

 なお、 第1話で書店の場面に使われているのは、我が地元・立川の「オリオン書房」北口ノルテ店である。コミックスが充実している、私のお気に入り店舗(たぶん西東京最強の書店)。その点もなんとなくうれしい。

『アオイホノオ』



 今日は、都内某所で音楽プロデューサー・評論家の立川直樹さんを取材。
 少年時代に立川さんの書かれたライナーノーツとか音楽評論などを山ほど読んだ身としては、とても楽しい取材。
 立川さんは60代後半だが、いまもよい意味での不良っぽさをたたえた、カッコイイ人であった。


 島本和彦の同名マンガをテレビドラマ化した『アオイホノオ』がAmazonのプライムビデオに入っていたので、観てみた。面白くて、つい全11話を一気に観てしまった。

 島本作品の実写映像化といえば、映画『逆境ナイン』もかなりよかったが、この『アオイホノオ』も素晴らしい。スタッフたちの原作へのリスペクトが感じられる、力の入った映像化だ。

 島本和彦自身が1人のマンガ家志望者であった大阪芸術大学時代をベースにした、自伝的青春コメディ。
 同期に庵野秀明がいたり、のちにマンガ界・アニメ界でひとかどの者となる人材が大芸大に集結していた時代であり、本作でも庵野は主人公・焔燃(ホノオ・モユル/島本の分身)の最大のライバルとして描かれる。

 舞台となる1980年代初頭の、オタク文化黎明期の出来事が随所に盛り込まれている。
 その時代を肌で知る私のような世代は、いちいち懐かしくて、面白くてたまらない。「ドラマで描くオタク文化黎明期」として、映像資料的価値も高いドラマである。

 また、そうした時代性を抜きにしても、いわゆる「ワナビ」の若者たちのイタさと熱さがふんだんに盛り込まれた青春ドラマとして、普遍的な面白さと感動を持つ作品だと思う。
 マンガ家・小説家・ミュージシャンなど、広義の「表現者」を目指した時期のある「ワナビ」や「元ワナビ」なら、焔燃の心の揺れ動きが手に取るようにわかるはずだ。大げさにデフォルメされているとはいえ、ワナビたちは大なり小なりこんなふうに悩み、もがき、のたうち回るものなのだ。

 焔燃役・柳楽優弥の熱演も素晴らしいのだが、『少年ジャンプ』の熱血ハードボイルド編集者・MADホーリィとか、ブッ飛んだ脇キャラたちがもうサイコー。



 このスタッフと出演陣で、焔燃がプロになってからの話(ただし、こちらは「炎尾燃」名義)である名作『燃えよペン』も実写化してほしいなァ。 

『リバース エッジ 大川端探偵社』



 テレビドラマ版の『リバース エッジ 大川端探偵社』がAmazonプライムビデオに入っていたので、少しずつ観ている。

■関連エントリ→ ひじかた憂峰・たなか亜希夫『リバースエッジ 大川端探偵社』

 原作も『漫画ゴラク』で不定期連載中だが、原作のほうはコミックス3巻あたりからストーリーのクオリティがガクッと落ちてしまい、私はもう続巻を買っていない。

 このドラマ版は、原作から12のエピソードを選んで映像化したもの。『モテキ』の大根仁が監督(脚本も兼任)しており、さすがの出来栄えである。映像はスタイリッシュで、細部までていねいに作られている。
 
 原作は毎回20ページほどの短編だから、1話30分のドラマにするためには、少しディテールをふくらませる必要がある。そのふくらませ方がなかなか巧みで、回によっては原作よりも面白い(調子の出ない回もあるが)。
 私のお気に入りエピソード「ある結婚」(第3話)など、原作よりもずっと感動的に仕上がっている。

 キャスティングも凝っている。「アイドル・桃ノ木マリン」(消えたC級アイドルを探す話)の回で、吉田豪が本人役で登場したり……。

 EGO-WRAPPIN'が担当するテーマ曲と音楽もよい。
 大川端探偵社の事務所にEGO-WRAPPIN'が入り込んでテーマ曲「Neon Sign Stomp」を演奏するオープニングも、なかなかのカッコよさ。



 そういえば、EGO-WRAPPIN'のヒット曲「くちばしにチェリー」も、類似作「私立探偵 濱マイク」の主題歌だった。

 ここまで力を入れて作ってくれれば、原作ファンとしても納得だ。

※後注/けっきょく、全話観てしまった。原作をしのぐ傑作になっていたのは、「最後の晩餐」「ある結婚」「アイドル・桃ノ木マリン」「トップランナー」の4話だと思う。打率3割。

『探偵事務所5』

探偵事務所5” Another Story File 4 探偵事務所5” Another Story File 4
柏原収史 (2006/03/23)
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ

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 『私立探偵 濱マイク』シリーズの林海象監督が、新しい「ネットシネマ」を始めた。公式サイト で、一話30分の連作短編シネマ26本を無料配信していくのだという。

 今回も、『探偵事務所5』 なる「探偵もの」だ。「濱マイク」シリーズが好きだった私としては、大いに期待。

 「MYCOM PC WEB」の記事(9月29日)を引用してみると…。

 物語の舞台となるのは、神奈川県・川崎にある「探偵事務所5」。創立60周年を迎えた"由緒"あるこの事務所では、所属する探偵達全員が3桁のコードナンバー「5XX」を持つ。物語の主人公は、会長「500」(宍戸錠)、幹部「501」(佐野史郎)、老探偵「511」(引退/石橋蓮司)、新米探偵「596」(柏原収史)、同「591」(成宮寛貴)、受付探偵「517」(上原歩)、変装の天才「532」(夏生ゆうな)、オッドアイ「542」(鈴木リョウジ)、人間兵器「555」(虎牙光輝)、浮気調査専門「522」(宮迫博之)、仮想世界の住人・探偵「599」をよび出すIT探偵(櫛山晃美)……ほか89名。

 つまり、「探偵100人がいる探偵事務所。探偵の数だけ事件が、ストーリーがある」(林監督)ということ。ネットシネマ、映画を封切に、今後は漫画(2月を予定)、テレビ、小説、舞台等々あらゆる媒体を通じ、探偵達を送り出していく。


 ううむ、メチャメチャ面白そうではないか。

 日活アクションに、大藪春彦の小説を鈴木清順が映画化した『探偵事務所23(ツースリー)』という傑作があったけれど、林海象はあれを意識しているのだろうか? だろうな。『探偵事務所23』に主演していたのは、この作品で事務所の「会長」役をしている宍戸錠だし…。
 『探偵事務所5』という一見そっけないタイトルには、「2+3=5」と、『探偵事務所23』へのオマージュが秘められているのだろう。

 さっそく、すでに配信中の第1話を観た。
 『私立探偵 濱マイク』が比較的リアルなタッチであったのに比べ、こちらは探偵たちが古典的探偵スタイル(中折れ帽に黒いスーツ、黒い伊達メガネ)であるなど、リアリティをはなから無視している。「秘密の七つ道具」なども登場し、『007』シリーズや『スパイ大作戦』のような遊び心に満ちた作り。

 第1話を観たかぎりでは、このままテレビドラマとして放映してもよいくらいのクオリティー(深夜ドラマっぽいけど)。老探偵を演ずる石橋蓮司がいい味出してる。
 
 テレビ版の『私立探偵 濱マイク』は、鳴り物入りで始まりながら視聴率的には惨敗したが、今回の作品で捲土重来はなるか。

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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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