2018年に聴いた音楽BEST10



 2018年のベスト10、今日は音楽(CDアルバム)編である。

 相変わらず、日常的には1970年代あたりの古いロックなどを聴くことが多いのだが、ここでは今年発表されたアルバムに限定。
 順不同。当ブログやブクログでレビューを書いたものについてはリンクを貼る。

 ジャンルも雰囲気もバラバラな感じだけど、私の中ではちゃんと統一感がある10枚。

ミシェル・ンデゲオチェロ 『カヴァーズ~ヴェントリロクイズム』

KIYO*SEN『organizer』

黒船『Journey』

中村佳穂『AINOU』

挾間美帆『ダンサー・イン・ノーホエア』

土岐麻子『SAFARI』

ブラッド・メルドー『アフター・バッハ』
――バッハもブラッド・メルドーもよく知らない私だが、これはよく聴いた。
 バッハの曲と、バッハにインスパイアされたブラッド・メルドーの曲が交互に出てくるが、両者が違和感なく溶け合っている。ひんやりとした清冽な演奏。

ナイル・ロジャース&シック『It's About Time』
――シックの26年ぶりの復活作。
 シックは元々ナイル・ロジャースのバンドだったわけだが、今作は「ナイル・ロジャース&シック」名義となって、そのことがいっそう鮮明に。
 相変わらずオシャレできらびやかなサウンドながら、その底には硬派な美学が一貫して流れている。「アイ・ダンス・マイ・ダンス」なんて曲には、とくにそれが顕著だ。「周囲がどうであれ、時代がどうであれ、私は私のダンスを踊るのみ」という、「我が道を行く」宣言がそこには込められている。

Glider『Dark II Rhythm』
――ムーンライダーズとかに通ずる、「東京郊外ロック」。〝日常の中にある都市感覚〟を極上のメロディーで表現した傑作。

ニール・ヤング『ロキシー:トゥナイツ・ザ・ナイト(今宵その夜)・ライヴ』
――名盤『今宵その夜』(1973年)発売当時の「ロキシー」での伝説的ライヴを、今年初めてオフィシャル・アルバム化。ラフな演奏のようでいて、みなぎる緊張感がすごい。

2017年に聴いた音楽BEST10



 2017年のベスト10、今日は音楽(CDアルバム)編である。

 相変わらず、日常的には1970年代あたりの古い音楽を聴くことが多いのだが、ここでは今年発表されたアルバムに限定。
 順不同。当ブログでレビューを書いたものについてはリンクを貼る。

井上鑑『OSTINATO(オスティナート)』
――11年ぶりのソロアルバム。知的で精神性の高いアルバムでありながら少しも難解ではなく、ポップで耳に心地よい。芸術性と娯楽性を、高いレベルで兼備している。
 今年のBEST1をしいて選ぶとすれば、これ。

サンダーキャット『ドランク』

矢野顕子『Soft Landing』

日食なつこ『鸚鵡(オウム)』&『逆鱗マニア』
――日食なつこは、今年ミニアルバムを2枚発表した。そのいずれも素晴らしかったので、「合わせ技一本」ということで選出。

プリズム『What You See』
――デビュー40周年記念アルバム。不動の名ギタリスト・和田アキラを中心に、世界水準のハイパー・テクニカル・フュージョンが展開されている。
 アルバムの惹句に「よりソフトによりハードに」とあるが、ソフトな曲とハードな曲が別々にあるというより、渾然一体となっている印象。美メロのスロー~ミディアム・チューンやポップなヴォーカル曲の中にも、ハードなギターや重厚なリズム・セクションが自然な形で組み込まれている。

s-ken(エスケン)『Tequila the Ripper』

グレッグ・オールマン『サザン・ブラッド』
――今年5月に69歳で世を去ったグレッグ・オールマンが、最後の力を振り絞り、死の直前まで制作を続けた遺作。
 オリジナル曲は冒頭の「マイ・オンリー・トゥルー・フレンド」(友たちとファンへの惜別のメッセージを込めた曲で、泣ける)のみで、ほかはロックやブルースのカバーだし、彼の最高傑作とは言い難いだろう。
 が、楽曲ごとの質うんぬんよりも、アルバムに込められた「思い」の熱量に感動させられる。

Eri Liao Trio『紅い木のうた』
――台北生まれ・東京在住のシンガー、Eri Liao(エリ・リャオ)を中心としたトリオのデビュー・アルバム。
 ジャンルの壁・文化の壁・時代の壁・言語の壁のすべてを突き崩すような、懐かしくも新しい「グローバル・ミュージック」。

ポルカドットスティングレイ『全知全能』

ハルカトミユキ『溜息の断面図』

■次点
集団行動『集団行動』

■番外
ヴァレリー・カーター『The Way It Is/Find A River』
――旧作のリイシューゆえ、「番外」とする。

2016年に聴いた音楽BEST10



 2016年のベスト10、今日は音楽編である。

 相変わらず1970年代あたりの古い音楽を聴くことが多いのだが、ここでは今年発表されたアルバムに限定。
 順不同。当ブログでレビューを書いたものについてはリンクを貼る。

ハルカトミユキ『LOVELESS/ARTLESS』

KIYO*SEN『Trick or Treat』

菊フィーチャリング鮎川誠、シーナ&ロケッツ『ROCKN' ROLL MUSE』

デヴィッド・ボウイ『Blackstar』
――発売直後にボウイが亡くなるという衝撃的展開となったアルバム。そのインパクトを差し引いて虚心坦懐に聴いても、十分に傑作。
 最後まで先鋭的存在でありつづけたことに脱帽。そしてR.I.P.

Yellow Studs『door』
―― 音楽サイト「BASEMENT-TIMES」の激アツな推薦コラム、「Yellow Studsのようなバンドを応援したくてこのサイトをやっている」を読んで知ったバンド。
 旧作を軒並み聴いて、すっかりノックアウト。この最新アルバムも大変よい。「カッコ悪さすれすれのカッコよさ」に満ちた、「ネオ・ハードボイルド」的な男臭いガレージロック。

小坂忠『Chu Kosaka Covers』
――日本最高レベルのシンガーが放った、芳醇なる洋楽カヴァー集。カヴァーアルバムのお手本ともいうべき仕上がり。

METAFIVE『META』
――高橋幸宏、LEO今井、TOWA TEIと、私のフェイバリット・アーティストたちが組んだ夢のバンドであり、このファースト・アルバムは期待を裏切らない見事な仕上がり。
 たぶん、今後欧米で成功する可能性が最も高い日本のバンドであろう。しいて今年のベスト・ワンを選ぶとしたら、これ。

Cocco『アダンバレエ』
――「最近のCoccoのアルバムはあんまりピンとこないなあ」と思っていた私は期待せずに聴いたのだが、これはよかった。とくに、オープニングのキラーチューン「愛しい人」から数曲のシークェンスは、最初期のCoccoが戻ってきた感じの迫力。

YEN TOWN BAND『Diverse journey』
――20年ぶりの復活作であるわりには話題にならなかった気がするが、かつての『MONTAGE』をしのぐ傑作アルバムだった。

SOIL&"PIMP"SESSIONS『BLACK TRACK』
 「爆音ジャズ」「Death JAZZ」などと称される、いわゆる「不良性感度」の高いカッコよさが身上の、6人組ジャズ・バンド。
 この最新作は「Black&Mellow」をテーマに据えており、これまでのソイルよりもメロウな仕上がり。
 全体に、ロバート・グラスパー・エクスペリメントの傑作『ブラック・レディオ』を彷彿とさせるジャンル横断的なアプローチが見られ、それは見事に成功している。『ブラック・レディオ』に対する日本からの回答ともいうべきアルバム。

■次点
TWEEDEES『The Second Time Around』
――元「Cymbals」の沖井礼二と、シンガー/女優の清浦夏実が組んだ、「2010年代の渋谷系」ともいうべきバンドのセカンド。
 清浦は6年前のソロアルバム『十九色』もよかったが、TWEEDEESでも最高にキュートなヴォーカルを聴かせる。


 ……選んでみて気がついたが、洋楽はボウイの1枚だけ。してみると、今年の日本の音楽シーンはけっこう豊作だったのだな。
 CDがまるで売れない不遇な時代ではあっても、アーティストたちは素晴らしい仕事をしているのだ。 

名カヴァー・ベスト20



 小坂忠のニューアルバム『Chu Kosaka Covers』(日本クラウン/3240円)は、じつに素晴らしい洋楽カヴァー集だ。

 同作に感動したので、「名カヴァー・ベスト20」を選んでみた。
 以下、カッコ内左側がオリジナル・アーティストで、矢印の先がカヴァー・アーティストである。

「キープ・ミー・ハンギング・オン」(シュープリームス→ヴァニラ・ファッジ→ロッド・スチュワート)
――シュープリームスのドリーミーなポップスをヘヴィーなロックに生まれ変わらせたのはヴァニラ・ファッジの功績だが、ロッド・スチュワートのヴァージョンはさらにドラマティックなハードロックになっていて、「これが完成形だ」と感じさせる。ロッドのロックシンガーとしての底力を見る思いがする。
 ちなみに、小坂忠も『Chu Kosaka Covers』でこの曲をカヴァーしている。これまた絶品である。


「ヘルター・スケルター」(ビートルズ→U2)
――チャールズ・マンソンが、この曲を聴いて“啓示”を受けたことから女優シャロン・テートを惨殺した、呪われた名曲。それをU2が『魂の叫び(ラトル・アンド・ハム)』でカヴァー。冒頭でボノが「これはチャールズ・マンソンがビートルズから盗んだ歌だ。いま、俺たちが盗み返す!」と言い、始まる轟音リフ。あまたあるビートルズ・カヴァーの中でも屈指の名カヴァーであろう。


「サティスファクション」(ローリング・ストーンズ→DEVO)
――原曲をなぞるのではなく、グシャグシャに換骨奪胎するカヴァーの手本。ビデオクリップも名作。


「ユー・リアリー・ガット・ミー」(キンクス→ヴァン・ヘイレン)
――エディ・ヴァン・ヘイレンの度肝を抜くギターによって、まったく新しい曲に生まれ変わった名カヴァー。


「グロリア」(ゼム→パティ・スミス)
――パティ・スミスのファーストアルバム『ホーセス』の冒頭を飾った傑作カヴァー。歌詞まで一部変えており、原曲は素材として扱われている。


「エイント・ザット・ペキュリアー」(マーヴィン・ゲイ→ジャパン)
――元がモータウン・ナンバーだとは思えない換骨奪胎ぶり。ドラムスとベースが織りなすリズムの迷宮の中を、デヴィッド・シルヴィアンの耽美的ヴォーカルがたゆたう。


「ロンドンは燃えている(London's Burning)」(クラッシュ→アナーキー)
――アナーキー版は「東京イズバーニング」。「あったまくるぜーまったくよー」などというDQN全開な言語感覚がサイコー。ごく素朴な天皇制批判を込めた歌詞によって右翼からの抗議を受け、この曲を収録したファーストアルバムは回収措置に。のちのCD版では曲自体がカットされている。


「フロッタージュ氏の怪物狩り」(石川セリ→矢野顕子)
――矢野顕子には名カヴァーがあまりに多いのだが、あえて一曲選ぶならこれ。原曲とはまったく別物になっていながら、原曲の「核」の部分は損なっていないという、矢野顕子流カヴァーの到達点。

「マネー」(バレット・ストロング→ビートルズ→フライング・リザーズ)
――フライング・リザーズ版は、演奏という概念を突き崩すほどアヴァンギャルドでありながら、なおかつポップでカッコいい。原曲の素晴らしさゆえであろう。


「ウォーク・オン・バイ」(ディオンヌ・ワーウィック→ストラングラーズ)
――原曲は、バート・バカラック/ハル・デヴィッドの黄金コンビによる、洗練された大人のポップス。それをストラングラーズがカヴァーすることによって、ドアーズの「ハートに火をつけて」を彷彿とさせる、サイケ風味のロックナンバーに昇華。


ここまでがベスト10。以下がモア10。

「私は風」(カルメン・マキ&OZ→中森明菜)
「アイ・ショット・ザ・シェリフ」(ボブ・マーリー→エリック・クラプトン)
「ダーティー・ディーズ」(AC/DC→ジョーン・ジェット)
「ロッタ・ラブ(溢れる愛)」(ニール・ヤング→ニコレッタ・ラーソン)
「イッツ・ソー・イージー」(バディ・ホリー→リンダ・ロンシュタット)
「星空に愛を(コーリング・オキュパンツ)」(クラトゥ→カーペンターズ)
「ブルドッグ」(フォーリーブス→近田春夫&ハルヲフォン)
「ファンキー・モンキー・ベイビー」(キャロル→AKIKO)
「ラブ・ミー・テンダー」(エルヴィス・プレスリー→RCサクセション)
「傷だらけの心/Shouldn't have to be like that」(フラ・リッポ・リッピ→ザバダック「水のソルティレージュ」)

デヴィッド・ボウイ逝去



 今日は、都内某所で女優の柴田理恵さんを取材。内容は、ワハハ本舗の3年ぶりの全体公演について。柴田さんとは初対面である。


 帰りの電車でスマホを開いたら、デヴィッド・ボウイ死去のニュース! こ、これは仰天。つい昨日くらいに、「ボウイの新譜(『ブラックスター』)がいい」という話をネットで読んだばかりだったので、完全に不意打ちであった。
 ラストアルバムをリリースした翌々日に逝去って、カッコよすぎ。ボウイは最期まで、現役の/最前線のロック・アーティストでありつづけたのだ。

 若い人にはピンとこないかもしれないが、私くらいの世代のロック・ファンにとっては、ジョン・レノンの訃報に次ぐほどの衝撃だ。

 好きなアルバムはたくさんあるが、ベスト3を挙げるなら、『ロウ』『ヒーローズ』『ジギー・スターダスト』というところか。
 『ロウ』なんて、発表から40年近くを経たいま聴いても、少しも古びていない。いやはや、すごいものである。

 というわけで、久々に『ロウ』を聴きながらこれを書いています。R.I.P.

■関連エントリ→ デヴィッド・ボウイ『リアリティ・ツアー』






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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。55歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。フリーライター歴31年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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●「mm(ミリメートル)」は、私のイニシャル「MM」のもじりです。

●私の大好きなギタリスト・渡辺香津美氏は、ご自身のイニシャル「KW」をもじった「KW(キロワット)」を、公式サイトのタイトルにしておられます(同名のアルバムもあり)。それにあやかったというわけです。

●あと、「1日に1ミリメートルずつでもいいから、前進しよう」という思いもこめられています(こじつけっぽいなあ)。

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