『後妻業の女』



 昨日は久々のオフ。思いっきりダラダラとすごす。

 DVDで、『後妻業の女』と『ジョン・ウィック』を観た。どちらも、観終わったあとにはキレイさっぱり忘れることができ、心に余分な夾雑物を残さないエンタメ作品。ダラダラ観にふさわしい。

 『後妻業の女』は、黒川博行の小説『後妻業』の映画化。
 最近頻発している、高齢者の遺産を狙った犯罪を描いたものだが、ブラック・ユーモアが基調になっている点が特徴。私は原作未読なので、どの程度原作に忠実なのかはわからない。



 かつて『黒い家』でぶっ飛んだサイコパス女を怪演した大竹しのぶが、ここでも遺産狙いのサイコパス女を怪演。
 こういう役をやらせたら、日本で彼女の右に出る者はいない。本作でも、いくつかの場面では観る者を圧倒する迫力の熱演を見せる。

 映画としては粗の目立つB級作品でしかないが、大竹や尾野真千子らの演技合戦は楽しめる。
 ただ、トヨエツはミスキャストだと思った。平気で人を殺すような男にはとても見えず、どうしようもなく迫力不足なのだ。

『ミュージアム』



 『ミュージアム』を映像配信で観た。
 巴亮介の同名マンガを、大友啓史監督/小栗旬主演で実写映画化したサイコサスペンス。ストーリーはおおむね原作に忠実だ。 

 基本設定は、デビッド・フィンチャーの『セブン』をあからさまに踏襲している。快楽殺人者による猟奇的連続殺人を描いている点も、主人公の刑事の妻が犯人の標的となる点も……。
 ただし、「たんなるパクリ」と言わせないだけのアレンジと創意工夫が、本作にはある。

 あまり期待せずに観たせいか、意外と面白く感じた。
 まあ、犯人の「カエル男」(妻夫木聡)があまりにも超人的で、たった一人で警察をきりきり舞いさせすぎなので、その点興醒めではある。
 しかし、どのシーンも演出には力がみなぎっているし、国産サイコサスペンスとしてはかなり頑張っているほうだと思う。

 元々演技のうまい尾野真千子(小栗旬の妻役)や松重豊のみならず、小栗旬も意外な熱演で好感を抱いた。
 

『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』



 昨日は、後輩の結婚式。50歳にして初婚で、15歳下のお嫁さんを迎えるという、世の独身中年男たちの希望の光となるようなケースである。
 で、昼間から酔っ払ってしまったので仕事はオフにし、映像配信で映画を観てダラダラすごした。

 『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』と、クエンティン・タランティーノの『ヘイトフル・エイト』を観た。どちらも面白かった。
 
 前者は、『闇金ウシジマくん』の映画化第4弾にして最終作(らしい)。
 いちいちこのブログに書かなかったが、これまでの3作も私はすべて観ている。全4作の中では、この『ザ・ファイナル』がいちばんよいのではないか。



 主人公・丑嶋馨と、主要キャラである柄崎・加納の中学生時代のエピソードを大きくフィーチュアした「ヤミ金くん編」の映画化である。
 現在と過去が交錯する形でストーリーが進むが、貧困ビジネスの闇を扱った現在部分よりも、中学生時代のパートのほうが面白い。

 『クローズ』などのヤンキー・マンガ(と、その映画版)よりも、はるかに荒涼とした不良少年たちのバトルが描かれる。「テメェ、コラァ!」「殺すぞコラァ!」と、野獣のような雄叫びを上げつつ虚勢を張り合う少年たちが、ふとした瞬間に見せるあどけない一面が微笑ましい。
 『スタンド・バイ・ミー』の流れを汲む“少年映画”として、見ごたえある一編になっている。

『きみはいい子』



 薬師丸ひろ子主演の大ヒット映画を橋本環奈主演でリメイク(正確には原作の赤川次郎による続編の映画化)した『セーラー服と機関銃-卒業-』がAmazonプライムビデオに入っていたので、観てみた。



 が、あまりのクズ映画ぶりに耐えられず、15分で観るのをやめた。演技は学芸会、演出は拙劣、セリフはいちいちわざとらしい……とてもじゃないが、最後までつきあう気が起きなかった。

 私は少年時代に薬師丸ひろ子の大ファンであったから、『セーラー服と機関銃』には強い思い入れがあるのだ。相米慎二監督のオリジナルは封切り日に観たし、翌年に公開された「完璧版」(ディレクターズカット版)も封切り日に観た。
 「角川映画40周年記念作品」だか何だか知らないが、名作を汚さないでほしいものである。

 で、口直しにまともな映画が観たいと思い、やはりAmazonプライムビデオに最近入った『きみはいい子』を観た。
 中脇初枝の同名小説(短編連作)を、呉美保監督が映画化した作品。



 これはじつによい映画だった。呉美保は前作『そこのみにて光輝く』も素晴らしかったが、本作でも抜群の演出力を発揮している。

■関連エントリ→ 『そこのみにて光輝く』

 たくさんの子どもたちが出てくる映画なのだが、その誰もが素晴らしく自然な演技を見せる。監督の演出手腕の賜物であろう。

 親に虐待を受けて育った若い母親による「虐待の連鎖」、貧困家庭のネグレクト、いじめ、学級崩壊など、いまどきの子どもたちをめぐる問題がてんこ盛りで描かれた群像劇である。
 というと、「多くの問題を一本の映画に詰め込みすぎではないか」と思う向きもあろうが、実際に観てみれば、ストーリーの流れがとても自然なので、詰め込みすぎという印象はまったくない。

 尾野真千子や池脇千鶴、そして主人公の新米教師役の高良健吾などが、それぞれ熱演。
 とくに、虐待する母を鬼気迫る迫力で演じた尾野真千子がすごい。たんなる鬼母ではなく、「虐待したくないのに虐待してしまう」苦しさ・悲しさ・焦燥までも見事に表現しているのだ。

 途中、見るのがつらい場面もあるが、ラストではそれぞれの登場人物に一条の希望の光が射す。
 人が人を抱きしめること――とくに、親が幼い我が子を抱きしめること――がもたらす価値を、静かに美しくリフレインする映画。

『日本で一番悪い奴ら』



 『日本で一番悪い奴ら』を、DVDで観た。
 北海道警の警部が逮捕された「稲葉事件」をモデルにした実録犯罪映画である。




 監督の白石和彌は、前作に当たる『凶悪』もとてもよかったが、これもなかなかの力作。

 悪徳刑事を主人公にした映画というと、日本映画の場合、湿っぽくて暗い作品になりがちである(工藤栄一の『野獣刑事』とか。まあ、アレはメチャメチャ暗いけど傑作なのだが)。
 対照的に、本作は乾いたタッチで、随所に笑いがある。ブラック・コメディといってもよいくらいだ。

 主演の綾野剛も、二枚目イメージを振り払って大変な熱演。とくに、ラストに向かってだんだんボロボロになっていくあたりの迫力は素晴らしい。
 

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Profile 

前原政之 
イラスト/ジョージマ・ヒトシ

前原政之(まえはら・まさゆき)
1964年3月16日、栃木県生まれ。53歳。
1年のみの編プロ勤務(ライターとして)を経て、87年、23歳でフリーに。ライター歴30年。
東京・立川市在住。妻、娘、息子の4人家族。

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