『誰も書けなかった日本のタブー』

2009年11月24日 20:11

誰も書けなかった日本のタブー (宝島SUGOI文庫)誰も書けなかった日本のタブー (宝島SUGOI文庫)
(2009/03/05)
西岡 研介一ノ宮 美成

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 今日は、午前中に打ち合わせで浜町まで。徹夜明けだったのでボーッとして各駅停車と快速を乗り違え、船堀というところまで“オーバーラン”してしまった。

 帰途、昼食ついでに高円寺に降り、パル商店街の居酒屋火災の現場前を通る。店の前に献花台が置かれ、テレビカメラ多数。
 くだんの店には入ったことがないのだが、すぐそばの高円寺ガード下とかではよく飲んだので、なんだか他人事ではない。

 電車の中で、『誰も書けなかった日本のタブー』(宝島SUGOI文庫/590円)読了。
 『別冊宝島Real』の「平成日本タブー大全」シリーズから、セレクトして文庫化したもの。

 タイトルはキワモノっぽいが、中身は意外とマジメな硬派ルポ集。アマゾンの「内容紹介」の一部をコピペすると……。

 雅子妃を輩出した小和田家と天皇家の確執、中田カウス事件の意外な背景、橋下徹府知事の闇、ダライ・ラマ14世と山口組の関係、後藤忠政元組長の肝移植疑惑、売春するHIV感染者、ゴミからできる健康食品、潜伏する父娘レイプの悲劇……。一目置かれるタブー系ムック「別冊宝島Real」から選りすぐった珠玉のルポ集です。



 参加している書き手の力量にバラツキがあって、かなり玉石混淆。
 鈴木智彦という人が書いた3本の記事が、いずれも突出して面白い。ヤクザ系ルポをよく書いている人らしいのだが、「よくここまで書くなあ」という感じで、スゴイ迫力。

 中でもいちばん仰天したのが、「ダライ・ラマ14世に群がる黒い面々」というルポ。どこまでホントか判断しかねるが、『誰も書けなかった日本のタブー』のタイトルにふさわしい1本だ。

「TubeRadio」がスゴイ!

2009年11月23日 10:17


↑「TubeRadio」の使い方ガイド(英語)

 「ライフハッカー日本版」で紹介されていたサイト「TubeRadio」にプチ・ハマリ中。

  これは「YouTube」と「Last.fm」を組み合わせた感じのサイトで、「YouTube」にあふれた音楽動画(にかぎらないけど)を、「iTunes」風のインターフェイスで自在に操れるようにしたもの。

 アーティスト検索をして関連動画をプレイリスト化して流しっぱなしにしたり、いろんなことができるのだけれど、私が何よりスゴイと思ったのはアルバム検索機能。

 たとえば、検索窓に「Led Zeppelin」と打ち込み、「Discography」ボタンを押すと、ツェッペリンの全アルバムのカバーアートがズラッと表示される。
 その中から、たとえば『プレゼンス』のジャケを押してプレイリストに加えると、「YouTube」のコンテンツから自動的に『プレゼンス』の収録曲目を探し出し、曲目順にリスト化してくれる(!)のである。しかも瞬時に。

 もちろん「YouTube」にアルバム全曲がアップされているとはかぎらないが、有名どころならだいたい全曲が揃うようだ。
 アルバムの曲ではなく同じ曲のライヴ動画とか、アマチュアがカバーしている動画とかの夾雑物(笑)がリストに入ってしまうこともあるけれど、そのへんはあとから手動でかんたんに修正できる。

 これはもう、音楽好きなら子どものころに一度は夢見たことがあるはずの「無料・無限ジュークボックス」である。「YouTube」でいちいち検索するよりもはるかにジュークボックス的なのだ。
 惜しむらくは、日本語に対応していないこと。検索は日本語でもできるのだが、リスト化されたあとに文字化けしてしまう。

 いちおう著作権で食っている者の一人として、音楽著作権者の食い扶持を減らすであろうこのサイトを大っぴらに推奨するのは気が引ける。なので、小声でそっとオススメ。
 まあ、このサイトで新しいお気に入り音楽に出合ってCDを買ったりすることもあるわけだし(もちろん、「TubeRadio」のサイトから直接CDが買えるようになっている)。

エイドリアン・デスモンド、ジェイムズ・ムーア『ダーウィンが信じた道』

2009年11月22日 12:44

ダーウィンが信じた道―進化論に隠されたメッセージダーウィンが信じた道―進化論に隠されたメッセージ
(2009/06)
エイドリアン・デズモンドジェイムズ・ムーア

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 エイドリアン・デスモンド、ジェイムズ・ムーア著『ダーウィンが信じた道――進化論に隠されたメッセージ』(NHK出版/3255円)読了。

 ダーウィン生誕200年、『種の起源』出版150年の佳節にちなんで出版された大著。著者2人は科学史家で、1991年にも大部のダーウィン伝を上梓している(邦訳は99年に工作舎より刊行)。
 では、本書は18年前に刊行されたダーウィン伝の屋上屋なのか?  そうではない。著者たちは本書で、これまでになかった角度からダーウィンの人物像に迫ったのだ。

 その角度とは、“ダーウィンを進化論研究に駆り立てたのは、奴隷制度への義憤であった”というもの。

 私は、佐倉統の好著『進化論の挑戦』を少し前に読んだところだったので、本書もたいへん面白く読めた。

 ただ、本文だけで600ページ超という本書の分量は多すぎ。「そこまで詳論する必要はないのでは?」と思わせる部分まで微に入り細を穿って書かれていて、トリヴィアルにすぎる。私が本書の編集者だったなら、この半分の量にまで削らせるだろう。

(くわしくは後日)

マイク・マイニエリ&スティーヴ・ガッド『リマージュ』

2009年11月21日 12:38

リマージュリマージュ
(2009/04/22)
マイク・マイニエリ&スティーヴ・ガッド

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 マイク・マイニエリ&スティーヴ・ガッドの『リマージュ』(ビデオアーツ)を聴いた。
 ニューヨーク・フュージョンの重鎮、 マイク・マイニエリとスティーヴ・ガッドが中心になったフュージョン・バンド「リマージュ」のファースト・アルバムである。

 ……というふうに書くと、ややこしくてわけがわからないかもしれない。
 日本盤の表記に従うと「リマージュ」はアルバム・タイトルだが、原盤の表記では「リマージュ」はバンドネームであって、「マイク・マイニエリ&スティーヴ・ガッド」なるアーティスト名はどこにも書かれていない。これは、リマージュというバンドの『2.0』というタイトルのアルバムなのだ。

 マイク・マイニエリとスティーヴ・ガッドはともに日本で人気があるから、という理由での変更だと思うが、アーティスト名義まで勝手に変えてしまうのはいかがなものか。
 これはたとえばの話、ビートルズの『アビイ・ロード』を、レノン&マッカートニーというアーティストの『ザ・ビートルズ』というタイトルのアルバムとして発売しちゃうようなものではないか。

 リマージュは、マイク・マイニエリ、スティーヴ・ガッド、トニー・レヴィン、ウォーレン・バーンハートの4人が、1970年代半ばに結成したフュージョン・バンド。
 ニューヨークでギグをくり返して人気を集めたが、アルバム発表前に自然消滅してしまった。ゆえに「幻のスーパー・バンド」として語り継がれていた。

 その伝説のバンドのメンバーが30数年を経て集い、ようやく作られたファースト・アルバムが本作(オリジナル・メンバー4人にくわえ、ギターのデヴィッド・スピノザが参加)。ゆえに、「ウェブ2.0」になぞらえてタイトルが『2.0』となったのだ。

 さて、このアルバム、マイニエリの透明感あふれるヴァイヴが核になっていることもあって、すこぶる上品で落ち着いた味わいの「大人のフュージョン」に仕上がっている。
 スティーヴ・ガッドもテクニックをひけらかすところがなく、ブラシ・ワークを多用して渋いドラミングを展開。スピノザのギターも、エフェクターをほとんど使わないナチュラルでソフトな音。
 どの曲もメロディーは美しく、アレンジは繊細で緻密。サウンドはしっとりと流麗。聴けば聴くほど味わいが深まる。

 マイク・マイニエリといえば、私が彼の名を知ったのは、渡辺香津美の名作『TO CHI KA(トチカ)』(1980)のプロデューサーとしてである。
 あのアルバムのタイトル・ナンバーはヴァイヴと生ギターが美しいメロディを奏でる絶品であったが、本作はあんな感じの音が全編で展開される感じ。
 マイニエリが同名ソロアルバムで発表した大ヒット曲「ラヴ・プレイ」も再演されていて、これが最高の仕上がり。

 一言で言えば、水彩画のようなフュージョン。あるいは、「ニューヨーク・フュージョン印象派」という趣。じつになごむ1枚。

 

『からっ風野郎』

2009年11月20日 11:44

からっ風野郎 [DVD]からっ風野郎 [DVD]
(2007/11/22)
三島由紀夫.若尾文子.川崎敬三.船越英二.志村喬.水谷良重

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 ケーブルテレビで録画しておいた『からっ風野郎』を観た。

 三島由紀夫が主演した、1960年の大映映画。監督は名匠・増村保造。すでに世界的名声を得ていた当時35歳の三島が演じるのは、落ち目の名門ヤクザの2代目。

 私はこの映画の存在自体は知っていたが、観るのは初めて。「どうせ、人気作家が主演するという話題性だけの駄作だろう」とたかをくくっていたのだが、意外にもすごく面白かった。
 傑作とは言いにくいがけっして駄作ではなく、興趣尽きない珍作。珍なる味わいが最初から最後まで持続し、少しも退屈しなかった。ヤクザ映画とはいえ泥臭さはなく、日活アクションに近いモダンなセンスが横溢している。とくに、色彩感覚はいま観ても十分に新鮮。

 プロの役者たちに囲まれて、三島の拙い素人演技が浮きまくってはいるのだが、そのことがむしろ面白さになっている。てゆーか、笑える。

 必然性もなく三島が上半身裸になるシーンがやたらと多くて、そのへんはたぶん三島の希望によるのだろう(笑)。ボディビルで鍛えた肉体はけっこうさまになっている。

 素肌に革ジャンを羽織って伝法なセリフをしゃべり、派手な銃撃戦などのアクションを演じ、ヒロイン・若尾文子とラブシーンを演じ、あまつさえ妊娠までさせる(笑)のだから、三島としては演じていてさぞ楽しかったろう。人はとかく自分にないものを欲しがるものであり、この映画で演じた役柄は現実の三島とおよそ正反対だったのだから……。

 ところで、三島のもう一つの主演映画『憂国』(三島の同名短編の映画化)もDVD化され市販されているのだな。初めて知った。ほんの数年前まで観るのが困難な「幻の作品」だったのに、いい時代になったものである。